Youside
クプスがいる…
目の前に、クプスが…
SC「何してんの…っ」
You「…」
SC「なんで急にいなくなんの…?」
泣きそうな顔
見たくない、その顔は、
You「あなたいると…じゃま、」
SC「…え?」
You「くぷす、じゆうになる」
見たかったのは写真の中の笑顔なのに。
泣いた顔は見たくない。
心臓が痛くなるから。
あなたは壊れたみたい…
SC「…!涙が…」
たくさん目から出てくる涙が止まらない。
どうやったら止まるかが分からない。
You「めいれい、」
命令があればきっと止まる。
命令があればきっと。
…クプスの前から消えることなんて簡単なのに。
You「…めいれい、いやです」
SC「っ…」
You「きえろ…いやです、」
なんでこんなに声が、手が、震えてるんだろう。
【いつかは捨てられる】
分かってる
【人間ではなくモノとして生きろ】
分かってる
【命令は絶対だ】
分かってる
逆らったらお仕置が待ってる。
動かなくなっていくモノをたくさん見てきたから。
その時がこの場所から抜け出せる唯一の方法だと思ってた。
その時が来るのを待ってた。
でも、
You「…くぷすと、くぷすといっしょ、」
SC「っ…」
You「くぷすといっしょがいい…っ」
この世界を知ってしまった。
You「くぷす…っ、」
SC「あなたっ、」
あなたという存在を知ってしまった。
SC「っ好きだよ」
人の感情を知ってしまった。
SC「愛してる…」
人として生きていきたいと思ってしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。