ガッ
そらびびを跳び箱の様に蹴りあげ高さを取る
パリンッ
四方八方のガラスが割れ全てが莉犬に向かってくる
『莉犬!お前は出来損ないじゃない!』
『出来損ないならなんで此処に、トップに来れたんだ?』
『それはさとちゃんが守ってくれたから…』
『違う。ここまで来れたのは…莉犬の実力だ』
『莉犬なら…絶対大丈夫だ』
『莉犬には…』
『絶大な勇気があるから』
ズサッ
タッ
高く飛び上がり光に向かって走る
ユラ…
特に何か考えた訳じゃない
だけど何故か口からその言葉が出てきた
朱色の光に掴みかかった時
ジュッ…と音を立てて胸の中に消えて行った
体が火照る感じがする
体温が上がって
力が抑えられない
ポツリと呟いた途端時計のような魔法陣が現れる
時間を止めたことを理解せず固まった莉犬を不思議に思い続ける
髪を解き水色のリボンの髪留めで手を結ぶ
『お前は俺が居る時以外に能力使うな』
『…戻れ』
『魔法陣に戻れ!』
『このまま倒れてたら…死ぬぞ…?』
『今はそんなのどうでもいい!早く戻れ!』
『びびくん?聞こえてる?』
『お願い、早く戻って…後はA0Iさんに任せていいから…』
『これ以上同じ事を繰り返したくない…』
『早く…ッ』
フラフラの足で水色に光る魔法陣へと歩く
サァ…ッ
涼しい風が吹き莉犬が動き出す
ドテッ
…ドサッ
手を莉犬に向け荒いガラスで簡単な牢屋を作る
そうするとそらびびを抱え本部へ走って行った
__________________続く
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。