朝 あなたが目覚めると初めに目にするのは、ベッド横に積み上げられた小説。それは全て昨日読み終えた物。
今日は有給を取っている。ゆっくり休もうと思っていた。
あなたは机の引き出しから、1枚の便箋と封筒を取り出す。
ペンを取り、書き進める。封筒の真ん中には「遺書」と書いて…
あなたは書くことがこれといってなく、内容に困る。
しかし、困っている割にペンは進んでいる。
「遺書って何を書くかわかんないけど、私が生きてた証を残すためにここに書こうと思う。
まず、お母さんとお父さんへ。ここまで育ててくれてありがとうございました。
就職活動も上手くいかず、落ち込んでる時にはたくさんの元気を貰えました。
唯一受かった今の会社。とても最悪です。上司から陰湿な嫌がらせが毎日毎日…。
もういきたくない。
何も親孝行出来てない。
お母さんたちを幸せにする願いも叶ってない。でも、この先生きてたらそのうち壊れてしまうと思って。負けるのは嫌だから、自分から死を選ぼうと思います。今まで愛してくれてありがとうございました。
あなたより」
あなたは手を進めながら、頬につたる温かいものを感じる。
便箋にポツポツと染みが出来る。
あなたは苦しみたくないことから、駅へ行って、線路へ飛び込む。
あなたはそう言い、今までに着たことのない綺麗な服に身を包み、外へ出る。
駅に着き、ホームへ行く。
そろそろ電車が来る様で、時間はぴったりだ。
あなたは焦る。痛くないことを望んでいたが、いざ目の前にするととても痛そうだ。
あなたは飛び込む。身体が引き裂かれる感覚があり、その瞬間目の前が真っ白になった。
あなたが、最期に口にしたのは、
と、大声で言い、あなたの意識はそこで無くなりました。
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目が覚めるとそこは、とても広く何も無い白い世界が続くだけでした。
あなたはボソボソ呟きながら1つの人影を見つける。
あなたは戸惑いながらも声をかけてみる。
その人は振り返り、落ち着いた声で話し始める。
その言葉にあなたは絶句する。
あなたがそう言うと宇宙と言う人は本を取りだし、何かを探している。
何かを見つけたみたいだ。
──────────キリトリ──────────
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。