第45話

お姫様ーR18ー
11,501
2018/10/01 11:13
ㅤ誰でもよかった。愛してくれるなら。

ㅤそう思って踏み込んだ世界は、いつしかそれだけじゃ満足出来なくなって。どんどん沼の底へと足を掬われて行った。その結果、誰からも愛情など感じられぬ程に私は飢えて行った。


ㅤ哀れな程に、強く───深く。
ㅤそう悟らせるきっかけをくれたのは、意外にも慧さんだった。
「ねぇ、あなたペットちゃん。今日さ、他の人も呼んでいい?」
「え………?」
ㅤ最近始めたらしいタバコを口に咥えながら、思わず聞き返した私に「ん?」と首を傾げて見せた。

ㅤ他の人───それは、女の子なのだろうか。それとも………。
「ねぇ、駄目?」
ㅤ冷ややかな目で私を見下ろす慧。嫌われたくない私は、とっさに「そんな事ない!」と声を震わせ声を上げた。

ㅤ必死な私を眺めては気持ち良さそうにフフッと小さく微笑む彼の表情に、安堵感さえ感じてしまう異常な私がいる。
「いい子だねあなたは」
「────ッ」
ㅤ頭を撫でる代わりに、秘部に挿れられたピンク色の小さな“ローター”と呼ばれる玩具が振動音と共に激しく震え出した。

ㅤアッ、アッと甘い喘ぎを漏らしながら自身の指を秘部に押し付ける淫らな私の口に、彼のモノが捩じ込まれる。
「んッ」
「ほら、奉仕してよ」
ㅤ腰を震わせながら、ゆっくりと彼のモノに舌を絡ませ首を前後させる。

ㅤ何度この行為を繰り返そうとも、アダルト業界のように美味しいとは決して言い難い。例え彼が美青年だとしても、結局雄の匂いには変わりないという事だ。
「フフッ、こんな淫乱な姿彼氏に見られたらどうなるだろうね?」
ㅤ甘ったるく毒々しい声が、頭上から矢のように降り注ぐ。

ㅤ聞きたくない。考えたくもないけれど、彼のそんな嫌気が差すような言葉ですら、私を掻き立てる材料でしかないのに、彼はきっと気付いている。
「彼氏、会いたい?」
「ンッ、や………ッ、はぅ………んッ」
ㅤ何故そのような事をわざわざ訊ねてくるのか理解に苦しむが、それだけは避けたい私は塞がった口で必死に止めてと訴えた。

ㅤ───ただそれが、余計彼の心に火をつけるとも考えずに。
「そっかそっか、会いたいか! そうだよねぇ〜!」
「んッ!?」
ㅤ目を丸くさせながら必死に首を横に振ろうとする私の喉奥に、彼の肉棒が一気に突き刺さった。

ㅤ喉奥が塞がり、嗚咽感と共に胃の奥から何かが昇りかけるような強い不快感が私の全身を襲う。そのあまりにもな苦しさに、私の瞳に涙が溜まる。
「ん………ッ、ぐ……アッ」
「悶えるあなたも可愛い………」


ㅤ喉が────息が詰まる。

ㅤヒクヒクとうごめかせる喉から肉棒が抜かれた。と思えば、また刺される。何度も繰り返される不快且つ苦痛な行為に、胃液と共に吐き出される涙が私の頬を穢した。
「可愛い。ねぇ、あなた………誰にも渡したくない」
「うぁ……ッ………んッは………んん……ッ!」
ㅤねぇ────慧は一体何を言ってるの?

ㅤ涙でもう、視界がぐちゃぐちゃに歪んでいて彼の表情すら伺えない。


「ねぇあなた───俺だけのお姫様ラプンツェルになってよ」



ㅤ────あ、スマホ、電話………鳴ってる。


ㅤ滲んだ私の視界。彼の手に握られた茶色い何かが微かに映りこんだ。

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