第7話

雑草と同じ
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2018/04/28 22:56
 彼と初めて身体を重ねたと同時に、私は数々の嘘を重ねてきた。
「俺の事好き?」
 そんな裕翔の純粋な問い掛けにすら“嘘”を混じえて答えるようになっていた。

 好き、と答える度に思う。裕翔は本当に面白味のない人間だと。


 どこまでも純粋で、どこまでも平凡。
 つまらない。本当につまらない人間だ。
「好き……だと思う」
 彼は私を救ってくれた光のような存在だった。

 だが、今の私にはそこらに咲いている名前の無い雑草と同じだった。


 いらない。貴方なんかいらない。
 今すぐ私を捨ててくれたっていいのに。
「そっか………ありがとう」


 ………貴方はどこまで馬鹿でお人好しなの?

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