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わははと笑いながら、シンデレラは言った。
コウは頬を膨らませた。
シンデレラに物を言わせまいと、コウは大きな剣を
どこからか取り出した。
シンデレラは剣を受け取った。
シンデレラは少し考えて、コウに尋ねた。
友達か、登場人物の命か…
どちらが大事かと聞かれたら、シンデレラは
迷わずこう答えるだろう。
シンデレラは持っている剣を見つめた。
王子様が持っているような細い剣ではなく、
幅は30センチ、長さは1メートル程ありそうな、大きな剣。
シンデレラはまだ自分がパジャマだったことに気がついた。
シンデレラは急いでドレスに着替えた。
1番のお気に入り、ウエディングドレスのような
純白のドレス。
所々に星をあしらった刺繍がされている。
シンデレラは部屋を出た。
部屋からすぐの所で、召使いに会った。
グシャ
シンデレラは殺した。
その声を聞いているのはシンデレラにとって苦だった。
『物語の未完結』の為に、いずれは死ぬ命。
できるだけ苦しまないように、一瞬で消した。
『物語の未完結』を決意したものの、シンデレラは
殺し屋ではない。
真っ二つに切り裂かれた召使いを見ながら、シンデレラは
涙を流した。
シンデレラの泣き顔をよそに、コウは分厚い本を
取り出した。
表紙には、『Cinderella』と書かれている。
シンデレラは半べそをかきながら聞いた。
本のページをパラパラとめくると、さっき殺した召使いが
描かれていた。
いうだけ言って、コウは消えていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!