第9話

孤独なシンデレラ 1-②
96
2019/01/14 04:19
シンデレラ
『物語の登場人物を全員殺す』
って………………
.














シンデレラ
やだな〜
シンデレラ
いくら冗談でもきついよ〜






わははと笑いながら、シンデレラは言った。






コウ
冗談じゃなんですー!





コウは頬を膨らませた。






シンデレラ
でもだって、殺すとか
現実的じゃな……




シンデレラに物を言わせまいと、コウは大きな剣を

どこからか取り出した。






シンデレラ
え…?
シンデレラ
これで人を殺せって言うの…?
コウ
はい!





シンデレラは剣を受け取った。










シンデレラは少し考えて、コウに尋ねた。











シンデレラ
物語が終わらなければ、私は
友達ができるの…?
コウ
はい!
コウ
『物語の未完結』が実現すれば、
あなたはずっと平民のままです!







友達か、登場人物の命か…


















どちらが大事かと聞かれたら、シンデレラは
迷わずこう答えるだろう。










シンデレラ
…友達がほしい。
コウ
ですよねー!
コウ
じゃあ、殺ってきてください!







シンデレラは持っている剣を見つめた。












王子様が持っているような細い剣ではなく、

幅は30センチ、長さは1メートル程ありそうな、大きな剣。











シンデレラはまだ自分がパジャマだったことに気がついた。






シンデレラ
あ!こんな格好じゃ外に
出られないよね。






シンデレラは急いでドレスに着替えた。











1番のお気に入り、ウエディングドレスのような

純白のドレス。











所々に星をあしらった刺繍がされている。








シンデレラ
魔法使いのおばさんも、召使いも、
全く私の好みを知らないんだから。







シンデレラは部屋を出た。











部屋からすぐの所で、召使いに会った。



召使い
シンデレラ様、今日は
お客様が___














グシャ


















シンデレラ
っ…………








シンデレラは殺した。











その声を聞いているのはシンデレラにとって苦だった。


















『物語の未完結』の為に、いずれは死ぬ命。




















できるだけ苦しまないように、一瞬で消した。















シンデレラ
うう………








『物語の未完結』を決意したものの、シンデレラは

殺し屋ではない。












真っ二つに切り裂かれた召使いを見ながら、シンデレラは

涙を流した。







コウ
お見事です!
コウ
それでは…
これを使ってください!







シンデレラの泣き顔をよそに、コウは分厚い本を

取り出した。












表紙には、『Cinderella』と書かれている。






シンデレラ
これは…?





シンデレラは半べそをかきながら聞いた。
コウ
あなたが登場人物を殺せば、
この本にその人のイラストが
描かれます!
コウ
この本があれば、何人殺したのか
すぐ分かりますよ!






本のページをパラパラとめくると、さっき殺した召使いが

描かれていた。







コウ
それでは、頑張ってくださいね!







いうだけ言って、コウは消えていった。







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