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第19話

憂鬱な眠り姫 1−③
72
2019/04/09 10:32










気づきました?













私の家族は、とっくに死んでいるんです。













私が眠りについていたのは、100年間。







その間に、両親も親戚も。





もうこの世にはいなくなったんです。










当然だよね…。








100年も経てば、人も世界も変わってく。













私が目覚めたのは、全く知らない世界だった。










お母さんもお父さんも、優しかった執事さんも、


誰一人としていない世界。


















見知らぬ世界に独りぼっちで生きるのは、辛すぎる。












けれど、眠っていれば夢の中で家族に会える。














だから私は願ったの。

『物語が終わらなければ』って……




































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眠り姫
はぁ…




と、溜息をつく眠り姫の足元には、今まで殺してきた
衛兵の姿があった。








じわじわと地面に染みていく血。


また1つ、本の中に衛兵が刻まれた。


眠り姫
飽きちゃった…。
眠り姫
衛兵さんを殺すの、つまんない。








眠り姫が小さな欠伸を一つすると、

足元を何かが伝っていった。







眠り姫
蛇だぁ!




眠り姫は笑顔を浮かべ、シュルリシュルリと移動する

蛇の群れを追いかけていった。






眠り姫
蛇を殺して、枕にすれば、
ひんやりしてて気持ちよさそう!




憂鬱で眠たい眠り姫。


衛兵の血が染み付いたいばらと共に。


うごめくまくらを追いかけた。




















『憂鬱』






それは、姫の心を迷わすいばらの森。








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