私の人生は、呪いと願いに縛られていた。
16歳で、糸車の針に刺されて死ぬ呪い。
死ぬのではなく、100年の眠りにつく願い。
妖精さんってさ、本当に勝手だよね。
私の運命を決めつけて、魔法で私を支配して。
もう100年、いや、もう1000年くらい眠っていたかったのに。
『物語が終わらなければ』、もっと眠っていられるかなぁ…
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眠り姫は呆れていた。
長々と続く大臣の説教を。
「いいですか?一国の姫たるもの、常に姿勢を正し、礼儀良く…」
ちょこんとわざとらしい髭をはやした大臣が、顔を
真っ赤にさせて眠り姫に話している。
『姫!?聞いてますか!?』
起きたばかりの眠り姫。
睡魔に耐えられず、再び眠りについた。
眠り姫は小さな違和感に目を覚ました。
さっきまでお説教をしていた大臣がいない。
不自然過ぎるほど静かないばらの森に、眠り姫は
立っていた。
暗い森。
血の匂い。
小さな違和感。
すると、手のひらほどしかない小さな妖精が眠り姫の
前に現れた。
〈そうだ、私は物語の主人公…。
主人公……〉
『登場人物を全員殺せば、物語は終わりません』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。