第52話

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2022/12/31 13:53
ころんsaid

















ガチャ












家に帰ってきた









ドアを開けても






なんの音もしなかった









にいちゃんいないのかな








ころん
にい…ちゃん?








俺はリビングを覗く










あなた
あ、おかえり
あなた
なに突っ立ってんだ?早く入れよ







おたまを片手にエプロンを着た兄ちゃんがキッチンに立っていた











ころん
あ、にいちゃん…






あなた
ん?







まるでなにもなかったかのように普通だった













俺は謝ろうとしたが





















やっぱり声が出なかった






























ころん
なんでもない
あなた
?  うん












あなた
あ!そうそう、今日はカレーだ!肉多め✨









にいちゃんの笑顔を見ると涙が出てきた
















なんでこんなダメな弟にそんなに気を使ってくれるの?







なんでもっと怒んないの?







どうしてそんなに優しいの?







ぐちゃぐちゃな感情が胸と喉を締め付けまた涙を流す












あなた
ご飯の前に…








俺は後ろからにいちゃんに抱きついた








振り返るにいちゃんに涙を見られたくなかったのもあったし







どうしようもなく抱き締めたくなったから










ころん
あ…の俺!









心臓の音がうるさい










にいちゃんに聴こえてるんじゃないかと思うぐらいうるさかった














ころん
にいちゃんが…









































ん?なんか焦げ臭い?










あなた
あぁぁぁぁぁぁ!






にいちゃんはカレーを作っていた鍋に飛びつき











肩を落とした










あなた
焦げた……






鍋の中には黒くなったカレーがこびりついていた








ころん
ぷっ、あははは!!







あなた
あははは!やっちまったな!!














笑いすぎて涙が出てきた
























































































伝えるのはまだ先でいい



































もう少しだけ

































この幸せを味わっていたいから




















































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