第24話

◆ナーチの夜
29
2020/09/11 10:54
レイラ
レイラ
……。(    ミレイユ ?  )
マ・セローの個室では、クレインと二人、のんびりと酒を酌み交わすレイラがいた。  ふと、ミレイユの声が したような気がして、静かに超感覚的知覚を研ぎ澄ます
クレイン
クレイン
?…  どうかした? 
レイラ
レイラ
……  いや (  まさかな…   ふっ、もう  酔いが回ったか  )
クレインが無言でじっと見つめてくるが、ミレイユに呼ばれた気がした、と話すわけにもいかないレイラ、 黙って酒をあおる
クレイン
クレイン
…💦  なんか… シムも置いてきちゃったし、ん…💦  二人だけで、隔離されたみたいな… 。みんなとは行き違いになってしまったのか…    退屈じゃないか? 

ぎこちない笑顔を向けるクレイン
レイラ
レイラ
 別に…   静かでいい  
クレイン
クレイン
 …💦  ミレイユたちは…💦  どうしたんだろうな?  イルカの動画とか撮ったかなっ…   

勘のいいクレインは、きっとレイラは、ミレイユのことを気にかけているのだろうと察していた
レイラ
レイラ
……。
レイラの方は、ただ黙って 注《つ》がれる酒を飲み干す作業を続ける
クレイン
クレイン
あいつ《ルフィー》の事だ-w  そんな余裕はなかったろうなぁ   笑  ここに着いたら、真っ先にスキャルバと二人、  あなたを連れに来ると思ったのに… 
ミレイユとルフィーは、連絡もないまま、まだ戻ってこない
いつものクレインなら、心配し過ぎて、それが怒りに変わったりする頃だ
レイラ
レイラ
 ……。気になるなら、もう部屋にかえって 連絡してみればいい  
レイラはクールな表情を貫く

少しの沈黙…  

レイラが煙草に火をつけ、窓の外に目をやる

港からは タロアイランドへと向かうフェリーの姿がみえる。
桟橋がキラキラとライトアップされ て、夜の海を華やかに演出していた

やさしくブルーエア〔煙草銘柄〕の薫りが漂う
クレイン
クレイン
  私、好きなの… その匂い 

プリスタインの温帯地域は、ルチカルフルーチェ《煙草》のバレンシア種の栽培に適していて、肉厚で糖含量《とうがんりょう》が高い、甘味を含む豊かな香りのルチカル葉が育つ。

ブルー エアは、芳醇な香りと深い味わいで、レイラが地球で吸っていたゴールドラインに、もっとも類似する銘柄だ

先進星では、あらゆる薬物を デバイスや、ボディパッチで取り入れるのが主流だが、レイラのように、乾燥した葉を刻んで 巻き紙でくるみ燃やして吸うというCタイプの愛好者も少なくない。

ルチカルフルーチェの本来の美味しさを引き出すのは、やはりこのCタイプではないだろうか。俗にカルと呼ばれている

現にルフィーやスキャルバは、レイラやマコトに影響されて、Cタイプを吸うようになった

ミレイユは、いつもそれを臭いというのだ
レイラ
レイラ
…変わってるな  
レイラは何かを思い出しているような様子
クレイン
クレイン
  … 。そう?  
(きっとミレイユのこと 考えてるんでしょう… 私もイオンシュになれそう)


クレインは苦笑いしながら、お酒を注《そそ》ぐ
レイラ
レイラ
うまい酒だな…  
勢いよく流し込む酒豪のレイラ
クレイン
クレイン
そうね、このお酒  口あたりがいいから、すごい飲める!  …でも アクセントは足りないか  ゴクゴク
(ルフィーなら、きっと あっさりしすぎだっていうだろうな、 なにせ、あいつはクセのある酒が好きだから… )
レイラ
レイラ
  ……。ふっ  だが、飲みすぎじゃないか?  さほど強くもないくせに  
(今 お前が、思い浮かべたのはルフィーのことだろう)
クレイン
クレイン
💦  貴方だって かなり早いペースで飲んでると思う…💧   
(そんな 何かを見透かすような目で見ないで…)
レイラ
レイラ
  そんなことはない  

クレイン
クレイン
ううん💦    私と居るとき、貴方はいつも、ものすごく飲んでる!     ただ、私の方がいつも早く潰れるだけ……💧  
レイラはそれには答えない

何だか 二人は ムキになって飲んでいるような…
クレイン
クレイン
どーせ!  早く 潰れて 寝てしまえと思ってるんでしょう-w  

酒ぐせは悪くないクレイン、独り、何かを呟きながら 、いつの間にか眠りにつくのが落ちだ
レイラ
レイラ

… お前が酔いに任せていたいだけだろう 私は シラフだろうと問題ない

と言いつつ、 ガンガン飲む

クレイン
クレイン
 私は…💦
(私は お酒なんか飲まなくても…
んん、ちょっと 恥ずかしいような💦 何が? でも、酔いに任せてるのは、やっぱり 貴方の方だと思う…)
ごちゃごちゃ考えながら、色んな表情をするクレインを、珍しくレイラが まじまじと見つめた
レイラ
レイラ
…… じゃ、部屋にもどるか?  

クレイン
クレイン
 でも、まだ こんなに残ってる  
クレインは酒ビンをつまむ
レイラ
レイラ
 かせ…   私が飲む  
クレイン
クレイン
 えっっ💦  そんな💦体に悪いし
レイラは髪をかきあげて鋭い眼差し
レイラ
レイラ
 院の定例会では いつも、この何倍もの酒を一気に飲むという 洗礼を受ける!  

何事も難行苦行《なんぎょう くぎよう》で鍛え上げられていると言いたいようだが、クレインは、それが 腑に落ちないと渋い顔をする
クレイン
クレイン
   😒 ちょっと待って  レイラっ 

レイラ
レイラ
…なんだ?
クレイン
クレイン
 その、山に登る訓練とか、酒を飲む訓練とか… ? 私といることは、まるで、その あなたのいう 何?トレーニング?
レイラ
レイラ
  ああ、苦行か  
クレイン
クレイン
 そう、それ!  その苦行ってものみたいじゃない 💦  
私は 、あなたの苦行なのか?( ω-、)
興奮して立ち上がると、頭がグラッとして 固まる、弱っちいクレイン
レイラ
レイラ
 …酒ビンを落とすぞ  

クレイン
クレイン
💦  ごめんなさい…    少し酔ったみたい…  やっぱり部屋に   
レイラ
レイラ
ああ…  私につかまれ  
レイラは椅子を引いて腕を出した

クレイン
クレイン
 ありがとう、  でも  大丈夫っ! 平気だからっ💦  
そう言って気丈に振る舞っては みたものの、立ちくらみがする
とっさに レイラの方へ 手を伸ばし、服の裾を そっと掴んだ
クレイン
クレイン
 💦 …やっぱり 手を貸して   なんか、ごめんなさい… 私  
レイラ
レイラ
クレインの足元はフラついている

レイラ
レイラ
 いちいち 謝るな…   

レイラは、クレインの細い手首を持って自分の腕に絡めた

長い廊下をゆっくりと歩く
レイラ
レイラ
 ちゃんとつかまれ… 
クレイン
クレイン
  …(〃ω〃)
武骨だが、優しいレイラの横顔に釘付けになる

レイラ
レイラ
 クレイン… 
クレイン
クレイン
  な、なに?(///∇///)💦
レイラ
レイラ
 段差がある 
クレイン
クレイン
 あ、ああ💦はぃ  
慌てて、下に目を向けた
レイラ
レイラ
 それと…   別に 苦行ではない  
クレイン
クレイン
 そ、そう…なの💦  

クレインは顔をあげる
レイラ
レイラ
 ああ…    
クレイン
クレイン
(///∇///) それは…良かった💦 私、本当は、あなたは迷惑してるんじゃないかと…。レオンが変なこといって、面倒〔私〕を押しつけたみたいな…   なんていうか… 💧  
( あなたはミレイユやみんなと過ごしたいだろうなって… )
レイラ
レイラ
 ……いや、むしろ 気が休まる  
クレイン
クレイン
  …レイラ ( …あなたも同じように感じていてくれたのか…  )
クレインの目からは 自然と涙が溢《こぼ》れた
クレイン
クレイン
 … なんで、私  💦

恥ずかしそうに笑って 目元をぬぐう

レイラは思わず クレインを引き寄せ、抱き締めた
クレイン
クレイン
… あ、(///∇///) こ、ここは廊下💦    
レイラ
レイラ
かまわない  
(今はただ こうしたい )
クレイン
クレイン
 酔ってるのね  💦
レイラ
レイラ
… ふっ、バカをいうな、お前のせいで 酔いが覚めた…-w   部屋で飲みなおすぞ    
クレインの手を取り 歩きだす
クレイン
クレイン
 ( ´゚д゚`)エーー!💦
レイラ
レイラ
 今日は寝られないと思え-w  
少し意地悪な笑みを浮かべるレイラ

二人の 長い夜は、これから始まる…

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