第2話

◆ソルジャー
36
2020/08/12 16:02
クレイン
クレイン
あんな無茶して!お前はBotじゃないんだぞ!毎回 生きて帰れると思うな!
ランドラで行われた聴聞会の後、すぐに待っていたのはクレインの爆裂した説教だった。
ルフィー
ルフィー
(だが…オレはこうして生きてる…Botっうか、死神だな)
クレイン
クレイン
おい、ルフィー、聞いてるのか?
ルフィーは、げんなりした。
ルフィー
ルフィー
…聞いてるわけねぇだろ。ムカついてんだ、少しだまってろっ!
しかし、クレインが黙るわけはなかった。
クレイン
クレイン
(`Δ´)だいたい旗艦ごときでチームを全滅させるなんて怠慢だぞ!ああいう場合、さっさと撤退するのが得策なんだ!3部隊も率いるリーダーがそんな判断も出来ないようじゃどうしようもないだろう!
ルフィーは服をつかまれ強く揺さぶられる。
心配しすぎたクレインの気持ちは収まりようのない怒りに変わっていた。
ルフィー
ルフィー

…ふん、さわんな
きっと、いつものルフィーなら食ってかかって反撃したはずだが、軽く振り払い、苦味渋った顔を向けるだけ、それもすぐに目をそらした。
クレイン
クレイン
ルフィー!いいか!お前があんな真似をすれば、隊員たちだって後に続く!R² Oだって、大破だ!大破!もう直せないし、死んだ人間も帰ってこないんだからな!!
クレインはルフィーの腕をもう一度掴む。
ルフィー
ルフィー
チッ
ルフィーは舌打ちして、クレインを睨むが、やはり言い返そうとはしなかった。

ラウガ「おい、おい、クレイン!ちょっとまてよ💦 」

見かねたラウガは二人の間に割って入る。

おかげで、解放されたルフィーは、ラウガに親指を示し、その場をとっとと逃げ去った。


───
ルフィー
ルフィー

ふーーーっ
ラウンジのソファーに腰を下ろす。
ふんぞり返って偉そうに振る舞うのは凹んでいるのを悟られまいとしているのか…
レオン
レオン
どこにいっても人気者ね!
離れたところで様子を見ていたレオンは、ドリンクホルダーにカップを二つ差し、それを持って隣にくる。
ルフィー
ルフィー
お前の  リンク〔結婚相手〕だろ!ギャンギャンうるせぇから、つないどけよ  
笑いながら、渡されたカップに口をつける。

レオンもクスッと笑う。
レオン
レオン
無理よ、彼女、首輪が嫌いだもの。美味しいでしょ?※オースフィッシュティよ  
※オースフィッシュ=レオンのお気に入りの酒
ルフィー
ルフィー
あぁ~~!くそ!思い出すと腹立って死にそうだぜ!
必死に戦い、愛機も部隊も失ったが聴聞会では腰抜けと罵倒され、非難を浴び、責任を問われ、挙げ句の果てに手柄はすべてD編特殊戦隊に持っていかれたのだ。
レオン
レオン
ふふ!嫌なことは早く忘れて。
アホ司令官の代わりはいてもエースストライカー ルフィー・オリジンの代わりはいないわ。貴方は有能な兵士、総局もそれはよく分かってる、相当処分だから大したことないわよ
もちろん、レオンがしっかり手を回していた。
外務局局長の令嬢であり、親衛艦隊所属の優秀な参謀官、幼さの残る少女だが、大きな戦略プランニングを幾つもこなしてきたエリート将校、私兵L&P部隊も所有している。

ソファーに反り返って、天井を見つめていたルフィーはムクッと起き上がる!
ルフィー
ルフィー
そう!オレはいつだって、ビーストしてんだ!死ぬことなんて怖くねぇ!命令されりゃメイジャーだってクマールだって墜としにいってやる!!!
いつものセリフだ。
興奮してソファーをガシガシ殴る。
レオン
レオン
クマールいいわね!目障りだから早く潰したいわ。恒星デストロ246は、破壊力は目標の1200バーレルを越えるものだけど、いつも飛距離でつまずくでしょ。だから  スピアヘッド〔先鋒隊〕が苦労するのよ。それが解決したら名実ともに宇宙一ね!しかも売れるわね~、マストが賑わう  
一人楽しそうなレオンを見て、ため息混じりに笑うルフィー
ルフィー
ルフィー
…楽しそうでいいな-w

レオン
レオン
ルフィーもしばらくは前線のことは忘れてL&Pで羽を伸ばすといいわ。今回のE424星については探査というより地域包括調査、リゾートだもの(’-’*)♪ きっと楽しい旅になるわよ  

ルフィー
ルフィー
リゾート?
そんなものからは縁遠いルフィー、頭の中は?がいっぱいだ。

レオン
レオン
その後は惑星探査に出陣よ!これを成功させれば、レオンはロットから高い評価を受けて、パラメールの商務流通とactiveファンドを任されることになるかも。そうしたらクレインが騒いでる理想論も何か叶えてあげられるかもしれないわ  

嫌いと言いながら、何だかんだ、いつもクレインを気にしているんです。

ルフィー
ルフィー
出世と金儲けだけじゃねぇってか?-w
レオン
レオン

そうよ!プロジェクトはミレイユたちの星を探すのにも役立つわ!…貴方は帰ってほしくないかもしれないけど
ルフィー
ルフィー
んなことねぇよ。別に…

そっぽをむくルフィーをレオンはじっと覗き込む…

レオン
レオン
…でも簡単に見つかるとしたら、近い星系ということだから、行き来することも容易だわ  
そうしたら、またその星でも商売をしようという魂胆だろう。

ルフィー
ルフィー
ああ💦 どっちにしても、フォリナ〔異星人〕は、いつまでも いねぇ方がいい  

ブラッセルをこよなく愛するルフィーだが、お世辞でも住み心地のよい国とは言えないようだ。
レオン
レオン
そうね、明日どうなるか、なんて誰にも分からない  

窓の外に目を向けるレオン。
このファーストビルから見える景色はどこまでも続く軍事施設と演習場の緑、そして遠くの巨大エアポート。沈みかけた夕日がまるで儚げな少女のようにレオンを演出する。
ルフィー
ルフィー
まぁな、でも俺たち高射隊とデルタ兵がいりゃ怖いもんなしだぜ!
ルフィーはレオンを包み込むようにキラキラと目を輝かす
レオン
レオン
ええ!惑星探査も遠征と同じで危険がいっぱい。頼りにしてるわ。レオンね、フィールドのルフィー、大好きなの!輝いてるもの!
細い両腕を伸ばしてルフィーの首に巻き付いた。
レオンにはルフィーが生きた凶器というより、動く金塊に見えるようだ、スリスリしている。

ルフィーのほうも誉められて気分がいい。その上、美少女の抱擁は悪くない。
まあ多分、夕日の効果だろう。普段のように押し退けるということもなく、逆にレオンの背中に手を回した。
ルフィー
ルフィー
わかってんじゃねぇか!レオン。あの地獄の花が咲く場所で 爆音に包まれるとな…オレは生きてるって感じる…

ルフィーは目を閉じて静かに開いた。

ルフィー
ルフィー
ゾクゾクするんだ、最高だぜ。その時 オレは他のことは何も考えねぇ、何もかも忘れられる  

ふっとミレイユの可愛い笑顔が脳裏に浮かぶ…すると、あれこれ あれこれと考えてしまう…。止まらない

急に身体《からだ》を離すとレオンはじっとルフィーを見つめる。
ルフィー
ルフィー
(ミレイユ…お前のことも)
レオン
レオン
私もね!戦略を練るとき、駒を動かすとき、ゾクゾクするわ!覗き見も好き!戦場を見るのも好き!人の葛藤、激情、不安、恐怖、実体の無いモノを覗き見するのはたまらないわ。それこそ生命《いのち》の息吹よね  
黒伝のバケモノ黒面貘のようなレオン。
すべてを見透かすような その表情にルフィーは恐怖を覚え、寒気すら感じる。
ルフィー
ルフィー
オレもヤバいけど、お前もかなりヤバいな…💧
レオン
レオン
うふふ❤️
ぐいっとオースフィッシュティを飲み干したレオンの笑顔はいつもの愛くるしい少女のそれだった。


* * *
そんな二人から離れた別階のホールにラウガとクレインがいた。
聴聞会での一部始終をラウガはクレインに話して聞かせた。
クレイン
クレイン
そんなの言いがかりだろう!だいいちラップパイオ性の高威力ロケットを大量に積んでるなんて事態、自爆するつもり満々なのは明白だ!そんな艦《ふね》をスイマ砲で一気に片付けようと、星系エリアに近づけたことの方が重大なミスじゃないか!
クレインは唾を飛ばして、まくし立てる。

ラウガ「ああ、だが下級兵士が生き残ってBトルの基長が死んじまったら…そりゃ俺らは タダでは済まないだろうって-w 軽くて懲罰部隊に二年、悪くすりゃ軍法会議で懲役にぶちこまれるって言われたが…💧」
クレイン
クレイン
まさか!命がけで戦って、なんで懲罰部隊だ!ましてや懲役なんて、ふざけてる!進軍刑法の何に違反したというんだッ!
クレイン
クレイン
(私はダメだなぁ…何もわかってない)
ラウガ「ルフィーは、お前がパラ公にラチられた時もランドラで取り調べを受けて 行政処分で、二日のトリカゴ〔拘禁刑〕と三ヶ月の謹慎を食らったんだ。あんときも連隊長たちに、お前を置いて逃げ帰ったと散々言われたんだぜ💦  きっと、それもあって目をつけられてる  」
クレイン
クレイン
…。(-_-;)
そんなこともあったなぁとクレインの表情はひきつる。

ラウガ「そういや、あの真相はどうなんだよ? お前たちの駆け落ちっていう、笑…まさかな!」
ラウガは興味津々だ。
クレイン
クレイン
そんな下らない噂…馬鹿げてる💦

あの頃は、どうしていいか分からない息苦しい感情に胸を痛めて、訳の分からない自分自身に苦悩した。

ラウガ「そういや、あんときもレオンが討伐隊に引っ張って、ルフィーの出撃停止処分を解除したし、今回だって議長と審議会を黙らせて、やつに救いの手を差し伸べた。レオンは、かなりルフィーに入れ込んでるな 」

ぼんやりと当時の気持ちを振り返っていたクレインだが、
レオン・セシールが突如、頭中に しゃしゃり出て、彼女の無駄に華やかな笑顔が、いやな戦いの記憶を掘り起こさせた。
クレイン
クレイン
レオン…。レオンの事なんてどうでもいいわッ!
(自由と平等のために戦い、平和で豊かな世界を目指すキウパラたちの思想に触れて、私は自分の進むべき道を確立させたはずだったのに…)
ラウガ「ルフィーを次のプロジェクトチームに入れるとか?クレインも一緒に行くんだろ?」

クレイン
クレイン
えーーー?なんで私が?

ラウガ「ん?ああ、レオンが得意気に話してたぜ  」

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