第6話

◆ロングハマー
20
2020/07/23 08:27
ラディア
ラディア
みなさーん、ロングハマーに着きました!次のSSの立ち寄り時間がありますので、一時間ぐらいで艦《ふね》に戻ってきてくださいね!
ラディアの軽やかな艦内アナウンスが流れている。
エップ
エップ
ここにある高短《こうたん》団子ってすごく美味しいらしいわ~よ~
ミレイユ
ミレイユ
オオパク麺も有名なんですって!
スズカ
スズカ
なんと言ってもハマーパスタ!オススメよ!
ミレイユ
ミレイユ
あぁ!そうね!その映像みたわ!!オオパクのふっくら煮も人気なのよね!
ユキホ
ユキホ
どれも旨そう!オレ、全部食べる
(*´∇`*)
喋りながら、ぞろぞろと降りて行く。

ルフィーたちは、プラットのゲートウェイで早速 一服タイム。
ハチ
ハチ
あのさぁ、売店でなんかさぁ、買えとかって?あれ、どういう意味だい?
ラディアの艦内アナウンスで、
「あ、それと、みなさん、ちゃんとSHOP99で商品を1つ、購入して、笑顔で撮影お願いしますね!」
と続いたところだ。
スキャルバ
スキャルバ
ひゃはーーい!酒買おうぜ!

スキャルバは酒が飲めればいいらしい。ハチは面倒くさそうに、
「じゃあんた、ついでに なんか、あたいの分も買ってきなよ!」

「ダメですよ~、 自分で行かないと、カウントされませんからねぇ」
高短団子を両手にいっぱい持ったスプラが歩いてきた。

「おぅ!またてめーか!やんのか!」
噛みつくスキャルバに団子を差し出す。

「…💧(゜_゜;)」

渡されると、何となく それをみんなに配ってしまうアホなスキャルバ。

「今回、RTA産業振興協会やビクトリア観光グループがスポンサーになってますから、指定の販売店の宣伝や観光施設の紹介が優先的に旅の基準に組み込まれているんです!」

「ふっ…」
目を下げたままレイラは笑う。

「EA〔護衛総局〕が全面バックアップで調査費は困ってねぇはずだが…。さすが、レオンのやつ、ちゃっかりしてんな。」
ルフィーも笑う。


「でも色々、お金がかかるみたいですよぉ~、スズカさんがボヤいてました、ちゃんと協力してあげてくださいねぇ~」
手を振りながら去っていくスプラ

「なんだ、あいつ…」
差し出された団子をムシャムシャ食べながら見送るルフィーたち。



* * *


一方、まだ艦内のレオンとクレイン。メインブリッジで、なんだかんだやっているうちに取り残された二人…というか、気を利かせて皆 先に行ったのだろうが、それが仇となる場合もある。

「…私たちも行きましょうよ、クレイン。お店屋さんが色々あるのよ!」
沈黙が続いた気まずい空気を、打破するようにレオンは口を開くが、

「 …スズカたちは 丸め込めても、私はその手には乗らないわ。」
分厚い鋼鉄のベールで、自身を覆い隠すようなクレインの態度。

「 ねえ、そんな恐い顔しないで。」
レオンは目を細めて微笑む。

クレインの奥底深くにある細かい闇の菌褶《きんそう》に触れたい…と
その鋼鉄のベールに手を伸ばす。

「やめて!あなたは何もわかっていない!!SJシミュレーションで、どんなに いい成績を収めても、現実はそんな統計だけじゃない!!割合だの確率だのって簡単に計算できるものばかりじゃないのよ!!しかも、それがすべて正しいなんて思い上がりも甚だしい!レオン、上に立つ者として、もっと理解していかなきゃいけないことがあるわ!」
いきり立つクレインを見て、まるで喜んでいる かのようなレオン。

「…そうなの?いいわ!聞くわよ、貴女が私と向き合ってくれるなんて…そう あることじゃないし、私はいつだって、貴女と沢山語り合いたいと思ってるのよ!」

「私は別に語り合いたい事なんてない!」
(むしろ、構わないでほしい。)

「…怒ってる?-w」
(もっと激しく来ていいのよ)
覗き込むようにクレインを見る、レオンの よくやる仕ぐさだ。

(憎たらしい顔、殴りたい…。)
クレインは心を落ち着けようと天井に目を向け、大きく息を吐いた。
「…私から言えることはただひとつよ、惑星も、その星に住む人々や、強制収容される人々の事も、もっと、ちゃんと考えて!あなたのおもちゃでもペットでもないんだから!」

いにしえの巫女クレインは、か細い腕で竜裂刀《サケベア》を振り下ろした!
キイイイイイイイイ~ー!!!
怪物レオンに立ち向かう。

だが、この怪物レオン!
軍神ダリオスの配下、アヒの180の軍団ですら、震え上がるという凶悪にして最強の悪魔だ!!
L&Pの軍旗と槍を構え、九頭竜に跨り、口から火を噴いた!

「 まさか-w 所有物なんて思ってないわ。だって大切な商品だもの-w
大丈夫!丁重に扱うわよ。」

「!!なにがっ 商品よ!やっぱりっそんな風にしか思ってない!💢」
カッとなったクレインが咄嗟に手を出すと、どこからともなくスズカが飛び込んできた。
「ちょっと、なにしてるの💦」

怒りと憎しみの入り雑じったクレインの視線はなんとも言えない。
レオンは嬉しそうにそれを迎え入れる。
「ふふ、冗談よ。」

「最低だな!この悪魔!!」
スズカを振り払い、レオンを突き飛ばしてクレインは行ってしまう。

「クレイン!なんてこと!」

言いながら、呼び戻そうとするスズカをレオンは止める。

「スズカ、いいのよ。これが、私たちの愛の形なんだから。」
(クレインの 怒りで震える瞳…恨みと憎しみの炎の揺めき…私はその中に身を燻らせ、溢れるほどの貴女を感じて燃えあがるわ💕)
レオンのいびつな恋は爆走中!

「💧愛っていうより、クレインは憎んでるように見えるわよ💦
※パラメールの一件で、あなたを恨んでいるみたい!助けてもらったっていうのに、なんなのかしらね!」
※人質であったクレインを奪還し、パラメリアンの本拠地を壊滅させた一件。

「 ……。」
(それまでは私の存在なんてスルーだったけど、今は強烈に感情をぶつける相手に変わった。)
「あの遠征は、私の外交の道を大きく広げてくれたわ。」

話ながら部屋を出るとレオンたちは通路を進んでステーションに向かう。

「ええ素晴らしすぎる功績よ!あの式典の時の 貴女の凛々しい姿、思い出すわ。」

ホールはザワザワと活気に溢れている。

「ふふ、私は飲みすぎて倒れて、オブジェと運命の出会いをした。」
レオンは当時を思い出して笑う。
その瞬間の表情には、ごく普通の女の子がいた

「そう考えると、今のところ怪しい動きはないけど、やっぱりスプラには用心しなくちゃね
ムーヴ社との提携もあって、大っぴらに拒否れないけど、ユーリと並んで要注意人物だと思うわ!」
スズカたちが足を止め、見つめる方向には、ラディアたちと笑うスプラがいた


レオン
レオン
…危なっかしいものほど、懐に入れて監視するのが一番よ
ねえ、そんなことより、何かいいものあった?しい先生の好物、高短団子は お土産に買っていかなきゃね❤️
気づいて手を振るラディアたちに、天使の微笑みで応えるレオンだった

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