第16話

Start of the Univers
46
2021/10/16 00:04


ブラフマー様がこの宇宙をお作りなさった時に、私は生まれた。


生まれたての私は、自我こそ持たない人形のようだったが、その頃の記憶はしっかり残っている。



ルキ
ねぇ、この子、何も喋れないの…?


「ルキ、この子は創造神のブラフマー様から生まれた神の子よ。いずれは光を操り、宇宙に存在する星々を統治する、始まりの神となるの。」

「あなたと同じ、工匠神となるの。あなたたちは、二人で一人なのよ。」





ルキとダルタウスは、いつも二人で一つだった。



ダルタウス
ルキ〜!遊びに行こう!!
ルキ
待って!これ書いたら…。
ダルタウス
遅いよ!待てない〜!

勉強でも、遊びでも、いつも一緒。




「あなたたちが魔法を使って隠れても、私たちにはお見通しです。金のリンゴを盗み食いしたのはあなたたちですね?」


ルキ
あーあ。叱られた…。
ダルタウス
やっぱり、あの時に砂糖もかけてたら、見つからなかったかな?
ルキ
ほんと君って意欲がすごいよね…。まだイタズラすることを考えているのかい?
ダルタウス
クスクス…だって、ルキと遊ぶの楽しいもん!


笑い合う二人。









「ルキ。君を生み出した神が判明した。君は破壊神から生まれ、いずれ闇を扱うようになる。」


「君は、その能力が目覚めないように、封印する必要がある。ダルタウスや、この宇宙のことを思う君だからこそ、永遠の眠りについてもらう。」


ダルタウス
やだぁ!ルキは僕と同じ工匠神だ!これから、僕と一緒に星を作るんだ!!空っぽな宇宙の中を、僕と作るんだ!


怖い。でも、逃れられない。



ルキ
ごめん。でも気付いてた。僕は、光より闇が心地よい。甘んじて、封印を受けるよ。
ダルタウス
やだぁ!!!



ルキは、封印を受けることになった。

永遠の眠りにつく。

それは、いつまでかかるのだろう。

僕は、消えることはあるのか?

神とは、どうなったら死ぬんだ。

怖い。





いつからだろう。

ルキとダルタウスの、運命が違う気がした。

ダルタウスは、光の神。

一方でルキは、成長するにつれ、光を拒む気持ちが大きくなっていった。

創造学も、手につかない。

どんどん良い成績をとるダルタウスと

ルキ
やっぱり…わかる…。


絶対に手を出してはいけないとされる、破壊学の書籍。

図書館が閉まった後こっそり忍びこみ、読んだその書籍は、普通の神ならば理解し難い内容だ。


しかし、ルキには全てが理解できた。



自分が光を操れないと知った、破壊神ルキ。


この頃から、全てが狂っていた。



「ルキ!逃げて!」



ルキの生みの親とされ、育ててくれた工匠神が、ルキを牢から解放する。


ルキ
見つかったら、あなたもただじゃ済まない!
僕に構わないで!もう一度僕を封印して!


「あなたは、私たちと同じ工匠神よ。あなたを一人にはさせないわ。」

「私から、もう一度頼んでみて、」



「おい。何故封印を解いた。」




牢の監督係に、見つかった。


「ルキ!逃げて!!」




ルキは、必死に逃げた。

背後で、悲鳴が聞こえた。

それでも、振り返らずに、走った。


ルキ
逃げなきゃ…逃げなきゃ…。


逃げ場がない。


ルキ
どうしよう…どうしよう…。


ルキは、逃げ道を見つけた。


ダルタウスと、作り途中の、宇宙。

ルキ
下界に、逃げなきゃ…。


ルキは、宇宙に、生命を発見する。



地球。


この星は、生きている。


ルキ
ここしかない…。


ルキは、地球と共にすることを選択し、下界に降り立った。


次第に、自分の育て親の神が、自分のせいで消されたこと。

自分が不甲斐ないこと。

みんなが、自分を助けてはくれなかったこと。


次第に闇が侵食する心で、負の感情を持ったルキは、簡単に闇に心を飲み込まれた。


ルキ
僕が、全てを破壊するんだ。神界も、下界も。




そうしてルキは、ダルタウスが作る星々に攻撃をし、生命が育つたびにそれを消し、最後は地球の人々に闇の感情を植えつけた。

人々は、人同士で争うようになった。


そうして少しずつ闇を大きくして、宇宙を破壊しようとしていた。

しかし、それも見つかり、ルキを探してダルタウスが下界に降り立った。


お互いの契約者が、ミンギュンと裕斗だとは知らずに…。









ダルタウス
こちらから、契約者様の気配が…。

こちらの方向、という情報だけで、ヒョジン、スンジュン、ダルタウスはひたすらに歩いていた。


J-US
J-US
流石に疲れてきたな…。
ヒョジン
ヒョジン
山登って降りて、その後もひたすらに歩いてるからな…。
ダルタウス
申し訳ございません…私に移動能力が無いばっかりに…。電気があれば光で移動することも可能なのですが、そういった物もありませんし、太陽光が障害になるので…。

ダルタウスは光と光の間を光速移動できるらしい。

太陽光で移動できないかと聞いたら、出来るけど一度太陽に触れることになると言われ、無理だということになった。


ヒョジン
ヒョジン
ちょっと休まない…?


ヒョジンが足を止める。


実を言うと、翌日予定が無いと夜中まで起きて、朝起きるのが遅いのがヒョジンだ。

そして出来れば何もせずに横になっていたいタイプ。
休日はいつまでも寝れる人だ。

J-US
J-US
俺も歩けねぇ…。

スンジュンもその場に座る。
この人も、誰かに起こされないと起きれないタイプだ。
ダルタウス
困りましたねぇ…。

快適そうに浮遊するダルタウスは考える。

すると、突然
ヒョジン
ヒョジン
うわっ、地震??

地面が揺れる。

いや、地面が割れていく。



J-US
J-US
なんだ!?やばくね!?
ダルタウス
大変…気候変動です…!
J-US
J-US
気候変動??
ダルタウス
そうです。宇宙の星々は生きています。この星も、気まぐれでバイオームがバラバラに動くことがあるんです。
J-US
J-US
はぁ!?どゆこと??
ダルタウス
大変!このバイオーム、一番遠い氷河の隣に移動するみたいです。
ヒョジン
ヒョジン
氷河って…チャンユンたちのいるところじゃね?
J-US
J-US
ちょうど良いじゃん!


しかし


ダルタウス
よくありません!!お二人とも、この木に捕まってください!!
ヒョジン
ヒョジン
え?
J-US
J-US
え?

言われるがまま、その辺に生えている木に捕まると、地面は物凄い勢いで動き出す。

ヒョジン
ヒョジン
ちょ、やばい!!振り落とされる〜!!!
J-US
J-US
うわっ!!うぇぇ…土が…。

葉っぱや土が、バサバサと二人に降りかかる。


そして、それもお構い無しに、地面は動き続ける。

ヒョジン
ヒョジン
もぉ止まってくれぇぇぇ!!


すると、途端にあたりが寒くなり、大きな氷が見えてくる。

氷河のバイオームに近付く。

ダルタウス
もう少しです!頑張ってください!
J-US
J-US
頑張れって言っても…。
ヒョジン
ヒョジン
う、やばい、、

ヒョジンが、手を離してしまう。

J-US
J-US
ヒョジン!!

スンジュンがその手を掴む。

その時、地面が止まり、電車のように慣性が働いて、ヒョジンとスンジュンが、氷河のバイオームに飛ばされる。

ダルタウス
待って!

ダルタウスが、先回りして二人を受け止めようとする。

???
痛っ!!


何者かにぶつかって、ダルタウスも倒れる。

上からヒョジン、スンジュン、ダルタウス、何かの順番で積み上がる。


ヒョジン
ヒョジン
あぁ!助かった!!
J-US
J-US
早く降りろ!!
ダルタウス
重たいです…降りてください…ㅠㅠ
???
何してんの…早く退いて!!

ダルタウスは、その声に聞き覚えがあった。


ヒョジン
ヒョジン
ふぅ、助かった。
J-US
J-US
いてぇよばかㅠㅠ

ヒョジンとスンジュンがそこから起き上がると、二人も知っている声を聞く。

E-TION
E-TION
ヒョジン!スンジュン!
WYATT
WYATT
良かった!二人も無事だったのか…!
MK
MK
ひょぉんㅠㅠ良かったぁ〜ㅠㅠ
U
U
ご無事だったんですね!

4人が駆け寄ってくる。

ヒョジン
ヒョジン
寒い寒い!!
J-US
J-US
寒いぃ〜〜!!!
U
U
あ!ごめんなさい!今僕が…。

ユトが二人に触れ、目を閉じて祈ると、二人は薄い光に包まれて、体温を取り戻す。


ダルタウス
あなた様が…私の契約者様ですね?
U
U
え、ぼく、、?


ユトは目を見開き、ダルタウスの美しさに絶句する。

他の3人も、ダルタウスを凝視して目が離せない。


ルキ
君たち。勘違いしてるけど、彼は雄だよ。
J-US
J-US
へぇ…って!?え!?
ヒョジン
ヒョジン
男ぉ!?


全員の視線がダルタウスに集中する。


ダルタウス
あら、私申し上げておりませんでしたか?
ダルタウス
私は雄です。人間で言う男ですよ。
E-TION
E-TION
マジかぁー…。
U
U
信じられないです…。

ダルタウスは、思い出したようにハッとし、ルキに向き合う。

ダルタウス
ルキ!君は神界から逃げたって聞いて、平和でいるのかと思ったら…私の作ってる宇宙を、よくもメチャクチャにしてくれましたね…。
ルキ
仕方ないだろ…闇に飲み込まれたら、自分の意思と関係なく体が動くんだ。
ダルタウス
いいわけありません!あなた、ルキの契約者様ですね?変な契約をされてませんか?無茶な注文を投げられませんでしたか?
ルキ
あのねぇ、
ダルタウス
あなたには聞いてません!!

喧嘩のようになっている。

MK
MK
えっとね…ルキと契約して、寿命と引き換えにお願いを聞いてもらえるっていう契約した。
ダルタウス
あぁ!闇の契約法ではないですか!耐えられないほどの知識を流し込まれませんでした?あなたは…あれ…正気を保ってますか…?
MK
MK
????

ルキが間に割って入る。

ルキ
あーあー、もう君ややこしいからいいよ。彼は、アーティファクトを持っていた。子供の頃には既にビジョンを見てて、無意識で脳内で、宇宙像を変換してる。
ルキ
だから、私と契約した時も、正気は保たれている。精神が飛んだりはしていない。まぁ、私の主なのだから当然。
MK
MK
????
ヒョジン
ヒョジン
挟まれた当事者が…。
J-US
J-US
一番わかってない…。
ルキ
ま、君は私に相応しいってことさ。
光栄に思ってね。
MK
MK
ふぅん。
E-TION
E-TION
反応うっっすい。

ダルタウスは、ぷんぷんと怒っている。

しかし怒っていても美しい。


ダルタウス
もう…捕まったら封印される。友人である君がそれを望まないのなら、見逃して差し上げようと思いました。なのに宇宙の星々に攻撃を…どうしてそんなことをしたのですか?

ルキはダルタウスから視線を外す。

ルキ
当然だろう。君は優秀だ。光の魔法も創造の魔法も扱える。私は、もう闇の魔法しか身に付かない。どうあがいても、邪神になるしかない。あんな牢で一生を過ごすくらいなら、下界に降りる。
ルキ
そして、この問題の元凶となった私を捨てた生みの親と、平和を理由に私を封印しようとした神々…全員私の手で消してやるんだ。

ダルタウスが、首を横に振る。

ダルタウス
変わらないですね。頑固なまま。敵討ちのつもりですか?そうしたところで、あなたは神界には戻れません。むしろ、どんどん帰れない状況になっています。
ルキ
そんなのわかってる!

ルキが感情をむき出しにする。

ルキ
この宇宙がめちゃくちゃになればいい。お前が手塩にかけて育てた、この宇宙が…。
ダルタウス
ルキ…。


しかし、スンジュンが間に入る。

J-US
J-US
はいはい。喧嘩終わり〜。
宇宙は無くならない。みんな無事に帰ろう。
ルキ
はぁ?
ダルタウス
??
E-TION
E-TION
いや、お前一番頑固に俺たちに突っかかってきてたじゃん!何急に仕切ってんだよ!

スンジュンが、手を叩いて場の注目を集める。

J-US
J-US
はいはい。実は俺、教授からカエルの怪物が襲ってくる話、聞いてたんだ。
ヒョジン
ヒョジン
え?あの怪物のこと知ってたのか??
スンジュンは、頷く。

J-US
J-US
そぉ。んで、あまりにも危なすぎるから、第一部隊の派遣に反対してたんだ。でも、結果こうなった。だからこそ、俺は他の支部の隊員と即興で作った第二部隊チームは危険だと思ったんだ。
J-US
J-US
相手は教授でさえ敵わなかった怪物。立ち向かうには大きすぎる。
U
U
それで僕たちに来るなって言ってたんですか?僕たちが行くって言って、どうするおつもりだったんですか?

スンジュンは全員に向き直る。

J-US
J-US
教授は予言として、2人の神が現れる話をしてくれた。更に、俺とヒョジンは4人の仲間に出会う、と。
WYATT
WYATT
その2人の神は、ルキとダルタウスで…4人ってのは…。

スンジュンは笑う。

J-US
J-US
そ!会った瞬間にわかった!お前たちのことだなって。
J-US
J-US
4人が良い奴らだってすぐわかったぜ?でもさ、これから起こることを聞いちゃってるから、最悪のパターンになるのが怖くて。俺、ヒョジンとなら最期を迎えても良いと思ったけど、みんなに知らせずにこんなことになるの申しわけないじゃん?だから、誰かが行かないって言ってくれるのを期待してた。
J-US
J-US
意地悪してごめんな?こんな話聞いてもらえないと思ったし、みんなこの調査隊になるために全力だったの知ってるから、リーダー権限で不参加にさせるのも違うなって思って。
MK
MK
んで、俺たちに突っかかってきてたと??
J-US
J-US
そのまさかなのだ!!

スンジュンは胸を張って言う。

E-TION
E-TION
胸張って言うことじゃねーよ!!
WYATT
WYATT
待って、ヒョンは普段そんな喋り方なの?
全然人が違うんだけど…。
J-US
J-US
本当はこのココボールをフワフワしたいと思ってたんだぜぇ〜。
U
U
あぁ!やめてください!!
ユトの後ろ髪をフワフワと逆撫でる。

U
U
せっかくセットしたのにぃ…。
J-US
J-US
あはは〜ユト〜。
U
U
あは、やめっ、くすぐった…。

人が違うスンジュンを見て、3人が目を丸くする。

E-TION
E-TION
誰やねんお前…。
WYATT
WYATT
知らない人…。
MK
MK
ユトぉ〜。
U
U
あ、ダメです二人は…アハハハ!

実はAB型トリオのスンジュンとミンギュンとユトでくすぐり合いが始まる。

E-TION
E-TION
…俺もまぜろっ!

B型チャンユン参戦。


ヒョジン
ヒョジン
こらこら!これからどうするか決めるんだろ!
WYATT
WYATT
やべ…頭痛してきた…。

O型ヒョジン、ジェヨン。
ルキ
ちょっとご主人!それでどうなったんだい?
早く進路を決めて!

ルキに注意されて、全員やっと静かになる。


ヒョジン
ヒョジン
スンジュンが知ってるんじゃね?
J-US
J-US
いや、俺はみんなのことと、最終的に助かるってことしか聞いてない。

全員がコントのように体制を崩す。

WYATT
WYATT
何のためにもなってない…。
ヒョジン
ヒョジン
この後何が起こるんだ…これ以上、大変なことなんてあるか??

スンジュンは、手を横に振って、俺知らない、と言う。

U
U
どうします?カエルの怪物をやっつけるのか、残りの第一部隊の隊員を探しに火星まで進むか。どの道、宇宙船はありませんけど。
ダルタウス
でしたら、私が直しましょう。
ダルタウスが提案する。

ダルタウス
ルキ、宇宙船の部品を集めてください。あなたなら出来ますよね?

ダルタウスがニコッと微笑む。


ルキ
またそうやって、僕をこき使う…君のことも許してないからね。
ダルタウス
何故?私が悪いことをしましたか?

ダルタウスが、ズイッとルキに近寄る。

ルキ
な、なんなんだ!君に命令されたくないよ!
MK
MK
邪神が…。
WYATT
WYATT
押されてる…。
ダルタウス
そっかぁ…。ルキはもう私のことが嫌いなのですね…。昔はあんなに可愛かったのに…。ルキったら、二人で食べ合うと一生を共にできると言われる伝説を信じて、金のリンゴを私と
ルキ
ああああ!!!わかった!わかったから!!
U
U
…?
E-TION
E-TION
…なんか怪しい。

ルキは慌てふためく。

ルキ
わかったから!集めるから!


ルキが腕を軽く振ると、黒いモヤができ、そこから粉々になった宇宙船の右半分と、ボロボロの左半分が出現する。


そしてダルタウスが宇宙船に触れると、光り輝いた宇宙船は、完全に元通りになる。


ヒョジン
ヒョジン
おぉー!これで無事に調査が進められるな!
J-US
J-US
よし!第一部隊調査と、ついでに火星探索だ!


全員で乗り込み、極端な気候の星を後にする。






宇宙を進むと、火星と思わしき星を見つける。

U
U
ヒョン!!あれって…。




見覚えのある物を見つける。



それは、あと一歩で火星という宇宙空間に浮かぶ、第一部隊の隊員だ。


WYATT
WYATT
ダメだったんだ…第一部隊は、火星に到達しなかったんだ…。
MK
MK
…。


全員が黙り込む。


ヒョジン
ヒョジン
いや、一人足りない…。


ヒョジンが、スンジュンを見つめる。


スンジュンは、何度もその人数を数える。



J-US
J-US
俺のヒョンが、いない…。
E-TION
E-TION
じゃあ、まさか一人だけ…。


スンジュンは、手を震わせる。


その右手の上に、ヒョジンが手を乗せる。

無言で目線が合う。


その上に、チャンユン、ジェヨン、ミンギュン、ユトも手を乗せ、合わせる。


ダルタウスがルキの手を取り、反対のスンジュンの左手を掴み、握り合わせる。


ダルタウス
行きましょう。私たち8人で。



その時、ルキとダルタウスが、声を上げる。


ダルタウス
契約者様!皆様!私に捕まって!!
ルキ
ご主人。私から離れないで。
ルキはミンギュン服の袖を掴み、ダルタウスは5人を抱き寄せる。


遠くから邪悪な気配がして、全員が構える。

窓から外を見ると、カエルの怪物・オーグダウスが、この宇宙船を視界に捉え、今にも襲い掛かろうと宇宙を進んでいる。


E-TION
E-TION
無理だ、間に合わない!予備船を出せ!!

すぐにユトが動き、床のボタンを足で踏みつけると床が開き、そこから予備船が出てくる。

U
U
お二人とも!乗ってください!

ミンギュンとジェヨンは、レーザーの操縦席に座り、チャンユンは司令席に座る。

MK
MK
早く!俺たちが食い止めるから!
WYATT
WYATT
二人で火星に行ってくれ!俺たちは大丈夫!
J-US
J-US
そんな!みんなは…。
ヒョジン
ヒョジン
スンジュン!早く乗れ!


ヒョジンが、スンジュンの手を引っ張る。
J-US
J-US
でも…!
ユトに押し倒され、スンジュンは予備船の座席に倒れ込む。

U
U
御武運を…!

ユトが床の補助チェーンを蹴り上げると、チェーンが外れ、予備船は宇宙に放たれる。

ヒョジン
ヒョジン
スンジュン。俺たちだけでも、行くぞ。


目頭が熱くなるのを感じるながら、スンジュンは大きな火星を前に、身震いをした。


二人は、決して後ろを振り向かず、火星へ進む。


白い靄で覆われた火星は、入ってくるなと言わんばかりに、異常なまでの重力が働く。

どちらに進んでいるのかわからない。
体が潰れそうなまでに重くなる。


進行方向に、光が見える。



その靄を抜けると…。





荒れ果てた、何もない土地。

草木も何も無い、ただただ茶色い、ひび割れたカラカラの地面。

気温も、寒くもなく暑くも無い。

空気すら無いように感じる。

肌を照らす太陽光も、ほぼ無い。

涼しく吹く風も、無い。



薄暗い星。

火星。

ヒョジン
ヒョジン
ヒョンを探そう。
J-US
J-US
…あぁ。

予備船から、ヒョジンはピストルを、スンジュンはライフルを取り出し、コウモリの群れが辺りに飛び交う、高い高い山の頂を目指した。

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