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2021/09/03

第2話

London
J-US
J-US
何で知らない奴らと行かなきゃならねぇんだよ!危険に決まってんだろ!
ヒョジン
ヒョジン
だから!本部の指示だから仕方ねぇだろ!

スンジュンは、共に切磋琢磨してきたこの部署の仲間と、チームと一緒に探索に行けないことが不満らしい。

そして、チームワークが如何に大切かを常に考えるスンジュンにとって、知らない人と行くことも不満だ、と。


以前、スンジュンのヒョンが、初対面のチームメイトと宇宙探索をした。

その際、チームメイトの勝手な行動により、宇宙船の一部が破損して、危うく帰って来れないところだったのだ。

それをスンジュンのヒョンが的確に動き、他のチームメイトも、彼に助けられたと語った。


それ以降、スンジュンは絆を大切にする反面、初めてこの部署に来る人をあまり寄せ付けないオーラが出ている。

幼馴染の俺が見るに、昔はそうでなかったのに。

命に関わる仕事だからこそ、その辺りに厳しいのか。



U
U
あのー、今お時間よろしいですか?


この子は確か…

U?

本名はみずぐち ゆうと…だったか。


元々、この国は同名が多く、フルネームで呼び合っても区別がつかない。そのため、学校や職場などで本名ではなく、市民全員が持つ市民ナンバーの登録名を使って良いことになっているのだ。

同じように、外国籍の市民もフルネームで呼ぶ習慣があったが、こちらは氏名が長すぎて呼びづらいことが理由となり、登録名の使用が許可されることとなった。



ゆとも外国籍だからな。

Uという登録名で社員証を作っているらしい。

渡された名刺もUと書かれている。

U
U
初めまして。水口裕斗と申します。
Uが登録名なので、そう呼んでください。
J-US
J-US
…。
じとーっとゆとを見るスンジュン。


ヒョジン
ヒョジン
ごめんな。こいつ悪いやつじゃねぇんだ。
誤解しないでやってくれ。
U
U
はぁ…、そうですか…。
ゆとは不思議そうにスンジュンを見る。
U
U
あの、僕からお願いがあるのですが…。
ヒョジン
ヒョジン
お、なんだ?
ゆとは口を開いた。

U
U
僕、体があまり強く無いので、何かあったら置いていってください。

…はい??

ヒョジン
ヒョジン
何言ってんだ。行く前からそんな…。
U
U
いえ。冗談ではありません。船内でも、宇宙でも、置いていってください。


本気で言ってるのか。


J-US
J-US
おい。行く前からそんなこと言ってる奴となんて、宇宙に行けねぇよ。無理してんなら行くな。
ヒョジン
ヒョジン
おい。スンジュン…。
U
U
無理そうなら、事前に報告はします。


なんか…

調子狂うな…


マネージャーから物静かな子だと聞いていたが、まさかこんなに会話がぶつ切りになるような話し方とは。

J-US
J-US
ふん。足引っ張ったら本当に置いてくからな。
この子は本当に…。

U
U
はい。では失礼します。
ヒョジン
ヒョジン
おい。名刺と、それを伝えるためだけに来たのか?

ゆとは首をゆっくり頷いた。
U
U
はい。

全部静かだ。

J-US
J-US
おい、ゆと。他の3人にも、弱音吐いたら置いていくって伝えとけ。
ヒョジン
ヒョジン
ゆと、本気で聞かなくて良いぞ。こいつめんどくせぇ奴だから。
U
U
…。

ゆとは、口を小さくポカンと開けて、俺たちを交互に見つめた。


あれ…これ相当嫌われた感じか??

U
U
…はい。話してきます。
ヒョジン
ヒョジン
しなくていいぞー。

ドアに駆け出したゆとの背中に声をかける。

顔だけをこちらに向けて、ゆとが言う。


U
U
僕たちのリーダーは、お二人なので。
指示は絶対です。
ゆとは部屋を後にした。


ヒョジン
ヒョジン
おい。本気にしてるじゃねぇか…。
J-US
J-US
ふん。俺は本気だけどな。
ヒョジン
ヒョジン
お前なぁ…。







二人の会話が漏れて聞こえる。


ヒョジニヒョンは、冷静沈着な思考。常に全体を見ている司令塔。チームの絆を繋げる優しきリーダー気質。

スンジュニヒョンは、熱血漢。丈夫な精神と肉体。仲間思い。たぶんああ言っているが、危機的状況で自分を犠牲にするタイプの人間。


U
U
困りました。情なんて、持たないようにと思っていたが…。
U
U
チャンユニヒョンに、ジェヨニヒョンに、ミンギュニヒョン…。それに…。名前で呼ばれるの、何年ぶりか…。
先程のワンシーンがリフレインされる。


J-US
J-US
おい、ゆと。
ヒョジン
ヒョジン
ゆと。
U
U
…。



「お前、ちょっと頭脳で動けるからって、調子に乗るな。」

「言葉もまともに使えてないのに、宇宙に行けるわけねぇだろ。」

「国に帰れよ。野蛮な日本国の人間が。」




バシャン!!



「見ろよ!こいつびしょ濡れで来たのかよ?どうした?お前にだけ雨が降ったのか?」

「汚ねぇから自分で自分を掃除してんだろ。ほら、雑巾やるからこれで拭けよ。」

「汚ねぇ。あり得ねーわ!」






「水口裕斗。貴殿は、優秀な成績を収めた。よって、宇宙探索員として、調査に参加してほしい。」





「あいつ、マジで気に食わない。」

「あんな奴が…ありえねぇ。やってられねぇわ。」



「生きて帰ってこれねぇよ。あいつこの学校でも友達いなかったし。チームの足引っ張るに決まってる。第二部隊が宇宙から帰って来なかったら、絶対あいつのせいだ。」

U
U
…はぁ、はぁ。


息が、苦しくなる。

ポケットから、吸入ステロイド剤を取り出し、数回かちゃかちゃと乱暴にボタンを押して、大きく吸い込む。


ヒョジニヒョンとスンジュニヒョンの声を聞きながら、部屋を出てすぐの廊下で、一人座り込む。

U
U
期待なんて、しない…。

呼吸が落ち着くまで、体育座りで丸まった。

度胸も、身体も、精神も、弱くて小さな自分が情けなくて、自然と涙が溢れた。