午前の授業が終わり昼休みがやってきた。
私は教室で1人お弁当を広げようとしていたら、
翔)教室で食べるの?
あなた)うん。そのつもりだけど
((どうせ友達なんて作る気もないし、誘って貰おうとか思ってもいない。
最近の自分は転校していく事に、友達を作るという行為をしなくなっていた。そして、それと同時に寂しい、嬉しいという感情さえ無くなっている様な気がしていた。
翔)もし、良かったらだけど一緒に食べない?
あなた)・・・・・・。んひょっ!!!!
思わずビックリして自分でも出した事のない声が漏れてしまった。
((男子に誘われるのは久しぶりだな…。もしかしてだけど…、二人っきり…、??
翔)おお、凄い反応だね(笑)いやさ、いつもはサッサー部の奴らと屋上で食べてるんだけど、一緒にどうかなって。新しいマネージャー紹介もかねてね。
あなた)あぁ〜…。(((ですよね〜…(苦笑い)
翔)ん?どうかした?
あなた)あ!いや、なんでもない!私で良ければ一緒に食べよう!
翔)やった!じゃあ、行こっか!
あなた)うん!
その後は屋上でサッカー部のマネージャーとして紹介された。サッカー部のみんなは快く私を受け入れてくれた。とくに部長の松岡くんは、部員20人の弱小サッカー部だと他校から言われ、「俺たちはそのイメージを払拭したいっ!」という事を熱く語ってくれた。こんな私でも優しく接してくれた。
でも、その優しさが私の胸には針としてチクチクと突き刺さった。
また私はこの場から居なくなってしまうかもしれないのに、……と、頭をよぎった。
つづく。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。