第3話

Forest騒動から得た教訓
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2020/09/17 12:00
 我々だのリスナーにとって有名なForest騒動は、動画内で登場した黒歴史ガチャをコネシマ氏が引き、「フォレストページ」という単語を引き当て、フォレストページとは何か調べようと検索したために我々だRPF作品を取り扱うForest内のWEBサイトを閲覧することになりショックを受けた、というのが一連の流れだった。この騒動には三種類の立場の人間たちが関わっている。コネシマ氏たちをはじめとした実況者たち、WEBサイトの運営者、そして黒歴史ガチャの製作者である。

 筆者は当該WEBサイトを見たことがないのでここからは憶測となる。

 仮に、WEBサイトの運営者がWEBサイトにBL、夢小説などの作品傾向やR18などのレイティングタグや注意書きを施していなかったとしたら、閲覧者には事前にWEBサイトの中身を推察する余地が与えられていないのだから、落ち度はWEBサイト運営者側にあり、コネシマ氏には何の非もない。裏を返せば、これでBL、R18と書いてあったのに閲覧してショックを受けられたとしたら、閲覧者に対して「あなたに全く非はない」とは言い難くなる。ポイントブレイク級のネットサーファーに見える言動をしているのだから、BL、レイティングの意味くらいは知っていて然るべきである。レイティングなんてそこらにある映画にさえ表記されている。

 //彼を責める意図はない。仮定の話である。かなり"虚無"だったらしいのでまあ何も分からずに見たんだろうなとは思う。//

 第三の関係者、黒歴史ガチャの製作者についてだが、彼もしくは彼女は下調べが甘かったと言わざるを得ない。しかもForestとはBL、夢小説の傾向が強い二次創作サイトを作ることを目的としたユーザーが大多数を占めるWEBサービスであり、二次創作に疎い人々にむやみに見せつけるものでもないのである。製作者にもう少し想像力や配慮があれば、「二次創作に抵抗がある人かもしれないからForestの存在を知らせるのはやめて、ガチャの中身は"夢小説"もしくは"BL二次創作"とだけ書いておこう」になったかもしれないし、事前にForestを調べて我々だ関連のRPFサイトを見つけていたら「フォレストページ」というワード自体が出すのは危険だと気づいただろう。

 ガチャ製作者に悪意はなかったはずだ。しかし、彼もしくは彼女がしたことは結果的に公式に対してRPFの存在を明かしてしまったことになるし、彼もしくは彼女のネットリテラシーは決して万全だとは言えない。この件で、ガチャ製作者は図らずも実況者をRPFサイトへ誘導してしまった。見た人の気持ちを思いやるなら、RPFだけでなくそもそも極端な解釈の象徴ですらあるBLや夢小説などの二次創作を、二次創作に関わりがなくむしろ二次創作に抵抗がある可能性さえある人々にむやみに公開すべきではないが、どういった行動を取ればそれを防げるのか、製作者は本質的に理解していなかったのだろう。

 加えて、ガチャ製作者はある意味二次創作との距離が近すぎたようにも見える。だから二次創作に縁のない人間がガチャの結果を見たらどういう行動を取るか想像できていなかったのだろうし、もし想像できていれば、フォレストページを検索した結果何が起きるか予測できただろう。製作者自身が黒歴史にフォレストページを挙げている時点で、彼もしくは彼女の人生に二次創作とのある種の深い関わりがあることは既に示唆されている。

 重要なのはガチャ製作者の失敗は他人事ではないことだ。彼もしくは彼女は二次創作との距離が近すぎたあまりに、間接的とは言え、何気なく、深く考えもせずにその手の話題を二次創作に無関係な人間に振ってしまった。ならば実況者そのものの題材としたRPFを扱う人たちにも同じことが起きるとは考えられないだろうか。つまり、自分自身とRPFとの距離が近すぎたせいで、たとえ気をつけているつもりでも、悪意なく、無意識に、実況者本人に届くコメントやリプライでRPFにまつわる発言をする可能性だってあるのだ。

 この件で私たちリスナーが得た教訓とは、公式と関わる前に自身とRPFとの距離感を見直す必要があること――つまり何かを発信する前に自分の発言はRPFに密接すぎやしないか? と自問する必要がある――と、一元化されたマナーやルールを守っているつもりでも、本質的な気づかいや配慮ができるとは限らないということである。

 騒動以来、RPFのマナーはかなり強化されている印象がある。しかしながらForest騒動からそろそろ二年が経つというのにリスナーによるコメントの質の改善がかんばしくないという現状を鑑みれば、はたしてRPF投稿マナーの強化というアプローチは「リスナーの質の向上」という目的に合っているのかと疑問を呈せざるを得ない。これではForest騒動から何も教訓を得られていないも同然であり、コネシマ氏を筆頭として、二次創作への公式見解を表明した我々だメンバーたちにとってもあんまりな仕打ちではないだろうか。

 公式見解を読み、そして理解したならば、今もなお炎上や名指しでの攻撃という形でリスナー同士が過度に干渉し合っている状況は、公式の願いからいかにかけ離れているかわかるだろう。

 特に昨今ではマナーを重視するあまり、最も重要であるはずのリスナー全体の意識改革が見過ごされてきている傾向があるので、今一度そちらに目を向けてみるべきだと私は考えている。

 
 //何やら私の知らない間に私の知らないところでRPGゲームの二次創作が炎上し、私が知らないまま鎮火したらしいが、実際に目にしたわけではないので詳細への言及は避けることにする。ただ、又聞きで耳にした限りでは、その二次創作ゲームの製作者は付けるべきレイティングを付けなかったらしいのでそこには物申したい。たとえ作画上とはいえ、R18Gと表記されていない作品上で登場人物の体の一部が急に吹き飛ぶ描写を見せつけられたら困惑を禁じ得ないに違いない。こういった事態を避けるために、閲覧前に作品傾向を知る機会がレイティングや各種タグという形で設けられるのだから、当該製作者にも今後は是非活用してもらいたいものである。//

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