第5話

RPFとの付き合い方、公式との接し方
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2020/09/17 12:00
 前述のとおり、RPFに関わる際に重要なのは公式への配慮である。

 ゆえにRPF作品を作品投稿系WEBサービスで投稿する際は、強化されたルールとやらにそこまで固執する必要もない。二次創作可のサービスであることを確認して、作品傾向タグ、レイティングタグを付けるだけで閲覧者への配慮は十分である。なお、タグに実況者の個人名を付けるとGoogleなどのサーチエンジンで検索上位に載るリスクが高まるため、センシティブな内容を含む作品やググって見られたくない作品には個人名、キャラクター名をタグ付けしなければよい。

 実際、当WEBサービスに投稿されている作品群のほとんど――個人名タグの付いた作品を除く――は、Googleなどのサーチエンジンで「実況グループ名+BL」「実況グループ名+夢小説」とでも検索しなければ見ることさえできない。このようなワードを検索している時点で閲覧者にはRPFへの一定の理解はあるはずなので、あとは閲覧者の自衛に任せるのみである。ちなみに、作品にR18レイティングタグを付ければ閲覧時にR18であることを確認させられるので、それを通過しなければ閲覧できないと知っていて「過激な作品を不特定多数に晒している」と抗議することはナンセンスだ。

 もっと別の例を出せば、AO3という小説投稿サービスで投稿されているあるゲーム実況YouTuberのBLカップリング作品は1万件を超えているが、別に炎上していない。鍵をかけているわけでも、検索避けしているわけでもないのにである。何が炎上の有無を分けたかと言えば、それは俗に言う「民度の高さ」だろう。AO3で投稿される作品はBL、夢小説に相当する作品傾向タグ、R18などのレイティングタグなどの基本的なものから、軽い暴力描写でもその有無などまでを細かくタグ付けしていて、閲覧事故はかなり回避されている印象だ。何より、あちらのRPF投稿者たちは、公式を重んじていて、公式が配信するコンテンツにふさわしいコメントを送ることはあっても、自分のRPF像を押し付けるようなことを公式や他のファンたちに言ったりしない。

 このジャンルにおいて、民度の低さを改善するために優先して行うべきことは公式にRPFかぶれのコメントを繰り出すリスナーの意識改革であり、いきなりRPFへの鍵や検索避けを促したりすることは本質からズレている。「マナーなんだからこうしろ」と言うことは単なる個人の意見の押し付けであり、意見は他人に押し付けるものではない。たとえ運良く他人に押し付けられた意見を鵜呑みにしてもらえたとして、押し付けられた側は自分自身の考えとして昇華できていないので、「公式への配慮が最も大切」という本質を理解できるはずもない。ただただ不毛である。そもそも意見の押し付け自体が礼を欠いた行為ですらある。民度の低い人たちの民度を改善するために自分自身の民度を下げていく必要性は全くない。

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