第3話

🗝
424
2023/03/18 09:04




そこから先はあまり覚えていない。





そのあと、私が逃げろって叫んで。





二人が走り出して、





でも姉さんはウェディングドレスだったから転んでしまって。






そこを母さんが庇って、紅が散って






母さん
に、げ…なさい……!!
姉さん
母さん!!






全部がスローモーション。





音には幕を張ったようだった。





あなた
かぁ…さ……?






母さんが見えなくなって。





姉さんの手を咄嗟にとって走り出した。





食べるのに夢中な巨人たちから逃げて、





立体機動をつけた憲兵を見つけて




あなた
私はあなた・あなたの名字だ。住民を壁上へ避難させて。姉さんを頼む
姉さん
………
ッは!






そのあとに立体起動装置を身に着けて飛び回った。






ここまではちゃんと覚えている。






それ以降は、私の中の記憶にはない。





でも、その時の感情から何をしていたかは予想が付いた。






あなた
(___ないと)
あなた
(__さないと)
あなた
(あんなことをしでかして)
あなた
(大事な人を奪った巨人を)





あなた
殺さないと






ずっとずっと飛び回った。






ガスと刃の補給のために立ち寄った場所では制止された気もする。





それすらも振り切って。





血も消えないうちに次を、次をと。






あなた
(殺す)
あなた
(殺す殺す殺す)





こんなに底冷えした感情を、私は初めて知った。





夜はやりやすかった。





巨人の活動が停止するから。






住民も逃げていった。





母さんはいなかった。




少し、休んでください!!
このままでは死んでしまいます!!





名も顔も知らない兵士がそう言った。





手はかじかみ、動きも鈍っていた。





あなた
(確かに…そうだな………)





私は気絶するように眠りについた。











明朝、私はまた飛んだ。






一体、二体倒して、道を歩いた。





あなた
大分変ったな





何の感傷も浮かばない。





心が冷え切っているようだ。






ふと、曲がり角の向こうを見る。





あなた
……ん、






ナニカがあった。





あなた
あ、あああ………






それはナニカじゃない。




そんなどうでもいいものなんかじゃない。




あれは、





あなた
母さん………!!





私が駆け寄って、その頬に触れようとして





そこまでだ





視界が真っ暗になった。





いや、目を覆われている。





あなた
だれ……?
リヴァイ
俺だ。……リヴァイだ






皆が、調査兵団が、帰ってきた。










切り方謎くてすみません。





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