目を開けた。
夢の世界、と私は呼んでいる。
大きな青白い、たくさん枝分かれされた木。
そして、九つの銀河。
この景色を見ていると、たった数秒のようにも見えるし、何十年も、何百年もこうしている気持ちになる。
この夢は、私の小さい時から見ている。
何を表しているのか分からないが、まあ綺麗なのでいいだろう。
というか、ベッドに入ったっけ?
そもそも何してたかな。
この夢には、数年前……ちょうど調査兵団に入った頃から一人の女の子が出てくるようになった。
何も話さないのはいつもの事。
でも、隣に座ってくるのでいやな気持にはさせていない……と信じたい。
話しかけるのはいつも私。
この子はそれを聞くだけ。
たまに微笑んでくれる。
そう、この子はお仕事を持っている。
ここにある砂で大きな大きな人型を……って、え?
瞬間、私の中を何かが駆け巡った。
そして、母を殺した巨人と、私が手伝いで作った人型が結びつくのは、そう遅くはなかった。
その子は首を傾げた。
私の中で暴れまわるモノがいる。
ああ、だめだ。
これ以上ここに居たら、私は傷つけてしまう。
大事な大事な友達を。
こんなことも耐えられない私でゴメン
貴方を独りにしてゴメン
貴方に疑心暗鬼になってゴメン
他にもたくさんのゴメンを抱えて、私は涙を流して謝るだけだった。
困ってるんだろうな、ごめんね
何回謝ったろうか。
気が付けば私は部屋のベッドに横たわっていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!