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第1話

前編 バレンタインの思い出
これは私が小学6年生の頃のお話――。


バレンタインデーが迫っていた2月のある日のことだった。



「ねぇバレンタインにチョコあげないの?」


「えっ?」

この日は休みの日で友達が家に遊びに来ていた。


「そうだ!せっかくだし、今から買いに行かない?」


「えっ?今から?」


「ほらー好きな人にあげるもんじゃん?」


そういいながら友達が向いた先には…私の好きな人がいた。
私には双子の兄がいて、今日はたまたま偶然、私の初恋の彼がその兄と遊びに家に来ていたのだ。


「よし!決まり行こう~!」


友達に言いくるめられるままに私たちはチョコレートを買いに向かった。


「ねーなんでそんな乗り気じゃないの?」


バレンタインは好きな人にチョコを贈る文化だとは知っているけど、


「だって、恥ずかしいじゃん。”好き”って言ってるようなもんでしょ?」


私の初恋の相手はクラスでも1番と言っていいほどの人気者で優しくてかっこいい人だった。


自分に自信がない私は競争率が高い彼に告白する気はなく、言ってしまえば告白してフラれるのが怖かったのだ。



「じゃあ私も渡すから一緒に渡せば怖くないでしょ!」


今思えば、それもちょっと違う気がするけど友達なりの優しさだったのだろう。


私達はスーパーのバレンタインコーナーで買った同じチョコレートを彼に渡した。

本当だったら、手作りしたのを渡すところだったんだろうけどな。


「ありがとう」


「うん。」
その時だった。


「なっ言ったろ?こいつお前のことが好きなんだって!」


えっ?何言ってんの?!


してやったりみたいな顔でこっちを見ながら意地悪そうに言う兄。

気まずそうに苦笑いを浮かべる彼を前に私は、

恥ずかしさでその場に居ても立ってもいられずその場から逃げだした。



私の隠していた思いを簡単に口にした兄が許せなかった。


恥ずかしくて、恥ずかしくて走って家の外に出て建物の影に隠れた。


急に走ったのと、好きという気持ちがバラされて倍に跳ね上がったであろう

心拍数を落ち着かせながらも、心のどこかで〝追いかけて来てくれたらいいのに〟

なんて淡い期待までしてしまっている自分がいた。


そうしたら、


えっ?!


ほんとに…来た!