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第11話

西国大革命伝
46
2018/05/14 14:57
早朝から既にこき使われたサラは、もうヘトヘトになっていた。

時刻は裁判所襲撃実行時間の約1時間前。

サラは時計を見ながらふぅ…と一息ついて部屋のベットに腰掛けると、すぐに部屋の扉がドンドン叩かれた。
サラ
はい!今行きます!
召使い
今日は建国記念日の準備でバタバタするから、大変だろうけど頑張ってね!
そう言うと、起こしに来てくれた人はバタバタと走っていった。
サラ
明日は建国記念日なんだ…
サラはふと、『明日の方がいい』という昨日のシューラの言葉を思い出した。
サラ
だから今日にしたのか…
バタバタと支度を済ませてサラは部屋を出て王の部屋に向かった。
今回はノックをしないで勢いよく扉を全開に開いた。
西猫王
おい、ノックすることも忘れちゃったのかよ。
やっぱり人間は猫様より劣ってるなぁ
ククッと笑った反面、王の目はしっかりとサラの目を睨みつけている。
サラ
王様、これまで短い期間でしたがありがとうございました。
大変楽しい時間…いや、大変忙しい時間を過ごすことができ、おかげて私の腕は見たことない程の傷が着いております。
西猫王
回りくどい。
今日は忙しいって知っているだろう?
何が言いたい?
サラは大きく息を吸って改めて王を見据えた。
サラ
誠に勝手ながら、今この瞬間から、私はあなたの召使いを辞めさせていただきます!
西猫王
へぇ、なかなかいい度胸だ。
ここを辞めた召使いは今までどうなっているか、分かるだろう?
俺を裁判所に訴えても無駄金払うだけだぞ。
あと命も投げることになるぞ?
王は飄々と笑って冷たい口調で続けた。
西猫王
まあ、どうぞご勝手に。
サラ
ありがとうございます。
では、失礼します。
再び扉を勢いよく開けて部屋を出ようとして、サラはピタッと立ち止まった。
西猫王
なんだ、やっぱり怖気付いたのか?
ふはは…所詮人間はその程度…
サラは王の方をくるっと振り返った。
サラ
王様、知ってました?
建国記念日の前日、革命記念日に制定されるみたいですよ?
西猫王
はあ?
何の話だ!
サラ
あれ?お気づきになりませんか?
あはは…所詮独裁でこの国を支配している西猫王様…
猫よりも低い種族である人間よりも、思考回路や想像力が劣ってらっしゃいますね?
西猫王は意味がわからないと言うようにポカンとした顔でサラを見た。


サラは肩をすくめて笑顔で王の部屋から飛び出した。



実行時間まであと10分。
裁判所前にはサラの予想を大幅に超える人々が集まっていた。
中には貴族と呼ばれる家系の猫もちらほら見られた。
シューラ
サラ!思ったより遅いから心配したよ!
サラ
ごめん!城から抜け出すのにちょっと時間かかっちゃって。
こんなに集まってくれたんだね
シューラ
ざっと1万人+何匹かって感じだね…
サラ
作戦は??
サラがそう聞くと、シューラはニコニコ笑ってサラを見た。
シューラ
作戦は特になし!
サラ
は?! 
作戦がないってダメじゃない??
シューラ
みんなが思うままに暴れてくれれば、それだけでもう革命でしょ?
サラはため息をついて裁判所の大時計を見た。
サラ
もうすぐ…
シューラ
サラ、もし危なそうだったらここから逃げて父さんの所に行ってくれ。
サラ
シューは?
シューラ
僕は最後まで革命に参加するから。
サラもシューラもそれ以上は何も言わず、周りの参加する者もサッと口を閉じた。

あと5秒で、10:00になる。



5…………




4………



3………



2…………



1……………!!
シューラ
みんな、暴れろーー!!!!
シューラの掛け声を合図に、
『おー!!』と声を荒らげて警備員を押し倒し、一気に裁判所へと流れ込んでいった。




不満を持った民が団結し、大きな波となって裁判所をあっという間に飲み込んでいく。




ものの1時間もしないうちに、裁判所襲撃は完了した。




窓は割れ、座席はめちゃくちゃになり、装飾はボロボロになったが、金品を盗む者はいなかった。
団結した国民に怖気付いたのか、国王はすぐに声明を発表した。


それは、

『今後一切、国政や権力、法に王は関与しないことを永久に誓う』

という、国民が1番納得する形のものだった。







こうして、西国大革命は幕を下ろした。
が、ここから革命が進んで行った、と言っても過言ではないだろう。

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