シューラはサラをベットに座らせて、自分は近くの椅子にちょこんと座った。
サラが笑ってみせるとシューラは大きなため息をついた。
そう言うと、シューラは椅子からジャンプしてベットに移った。
そしてサラの右腕に顔を寄せる。
サラはしぶしぶ腕を見せた。
まだかさぶたが三本線になって残っている。
サラは黙ってそっぽを向いた。
シューラはサラの周りをゆっくり歩き始めた。
そして、サラの真後ろで立ち止まる。
黙ったままのサラだったが、シューラは満足そうに笑った。
驚いたサラが両手で顔をぺたぺた触ると、シューラはニャッと小さく笑った。
もうバレてしまった以上、サラはこれまで受けたことを全て話すことにした。
すべて話終わる頃には、サラの顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
怖い事を思い出して泣いているのか、
シューラに話せたことに安心して泣いているのか…
なぜ泣いているのかはサラにも分からない。
シューラは気を使っているのか、ずっと窓の外を見ている。
サラが落ち着いたのを見計らって、シューラはサラの隣に座った。
シューラはサラの顔を見ながらニヤニヤしている。
シューラはそのまま目を大きく開いて更に顔を近づけてくる。
サラが指差すと、シューラは嬉しそうに何度も頷いた。
うーんと5秒ほど唸ると、シューラがぱっと顔を上げた。
「例えば…」と呟いてシューラは目を瞑った。
シューラはぱっと目を開き、サラと顔を見合わせた。
サラはキッチンから自分とシューラ用の飲み物を運んできた。
サラはシューラの皿にグラスを近づけて、静かに乾杯をした。
革命を成功させたい、と願いながら1人と1匹はそれぞれ飲み干した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。