第4話

ご褒美
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2020/12/16 21:31

「なぁ、宗介」


部屋に戻って来た宗介に声をかけた。


宗介
「どうした?」


「その... あなたの夜の練習... これからは俺が見ても良いか...?」

宗介
「知っていたのか?」


「まぁ、ランニングに出たらお前らを見てな... 通りであなたは早く上達するし、お前は同じ時間帯に部屋にいない訳だ」

宗介
「俺は別に構わない。あなたも大丈夫だろ」


「え...」


予想と違ってすんなりOKが出たから俺は少し驚いた。
宗介も楽しんでいるから止めたくないのかと...


宗介
「あなたとの時間が増えるから好都合じゃないか。それに...」


彼はニヤッと笑った。


宗介
「夜のプールで女と男が2人きり...」


なっ...!顔が熱くなるのが分かった。



「や、止めろ!バカヤロー...」





あなたside


夜。時間になっても宗介が来ないから心配になった。
用事がある、とか言わなかったけど... まぁ、たまには1人でも大丈夫か!
そう考えて、アップを取った後泳ぎ始めた。

しばらく経って、水の中にいたままプールサイドで休んでいたら物音が聞こえた。


あなた
「そうす... って凛!?え、何で!?」


水泳パンツ姿の凛が現れた。



「そんなに驚くなよ。俺が悪者みたいになっちまうだろ」

あなた
「そういうつもりじゃないけど... 何で凛がここにいるの?」


凛には何も話していないし、宗介が口止めの約束を破るとは考えられない。



「まぁ... 俺、お前が宗介と練習しているのを見てさ... 替わってもらったんだ。嫌なら止めるけど」

あなた
「いやいや、全然大丈夫だよ!むしろ嬉しい!」


宗介の指導も良いけど、やっぱり凛の方が... ね... ^^



「なら良し!改めてよろしくな!」



こうして凛に1日に2回も練習に付き合ってもらう事になった。

数日後。



「あなた!今日は最後に端から端まで1回泳いでみろ!」

あなた
「え... そんな...」


さっきまで半分の距離を泳いでいて、大変だったのに...



「途中で足を着いても構わねぇよ。でももちろん、なるべく避けてな」

あなた
「でも...」


「お前なら出来るから大丈夫。俺が隣にいてやるから」


彼の声や言葉はしっかりしていた。
水泳部部長でもある凛が言うんだから... 信じよう!


あなた
「頑張る...!」


「行くぞ!」



どうにか1回も止まらずにプールの反対側にたどり着いた。


あなた
「はぁ... はぁ... 凛、出来たよ!」


ゴーグルを外して隣を向いたけど彼の姿はなかった。


あなた
「凛...?」


隣にいてやる、て言ったじゃん...


あなた
「凛...?うわっ!」


自分のすぐ近くで水しぶきが上がって凛が現れた。


あなた
「凛!ビックリし...!ん...」


身体に腕が回ってキスをされた。





凛side


途中で足を着いても良い、て言ったのにあなたは最初から最後まで泳ぎ切った。
何か嬉しかったんだよな。泳げなかったあなたがこんなに成長して...
だからご褒美の意味も兼ねて... キス... したんだ...



「お前が好きだ... お前とずっと一緒にいたい...」


顔を離して自分の気持ちを伝えた。



「あなたは... どうなんだ...?」


期待しない方が万が一のために良いのは分かっている... だけど... 好きだからこそ期待しちまうんだよな...
どうか答えが...


あなた
「私も同じだよ、凛...」


「っ...!」

あなた
「好きだからずっと一緒にいたい...」


「あなた...!」


スゴくて彼女を抱き寄せた。
クソッ... 泣きそう...


あなた
「帰ろうか。もう遅いし、最後の課題もやったし」


「おう...」


寮に帰る時、俺達は初めて手を繋いだ。
何か... 俺までご褒美をもらった、ていう感じだな。

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