ホテルの部屋に入ると甘ったるいにおいをぷんぷんさせた女の子が俺を待っていた。
ベッドに座る彼女に近づき、とりあえずキスしながらコートを脱いだ。
そのまま押し倒して上に跨ると、すぐに鼻にかかった声を出す。
これがうるさくて仕方ないけどみんなやるから諦めた。
イライラしている自分を感じながら、この真っ黒な気持ちをぶつける為にこれから名前も覚えていられないような女の子を抱く。
彼女は彼女で悦ぶから、win-winの関係なんだけど…
女の子を上から見下ろして、自身のベルトに手をかけた。
そこで俺の動きが止まる。
動かない俺を不審がって、彼女が手を伸ばしてきた。
首元に絡められたその腕が異常に気持ち悪い。
待てないと言わんばかりにキスをしようとしてくるその唇も、バスローブから覗く肌も、何故か何もかもが吐き気を催した。
俺はその手を掴んで自分の身体から剥がし、ベッドから離れた。
ショックなのか驚いてるだけなのか怒っているのか。
その感情すらどうでもいい俺は、さっき脱いだばかりのコートを着直した。
カバンを持って部屋を出ようと歩き出すと、ぽかんと口を開けていた彼女がすぐに追いかけてきた。
腕を持たれ引っ張られると、その部分に酷い嫌悪感が募る。
吐き捨てるように言った後、俺は彼女を残してホテルを去った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。