初めて会った時、脳天を撃ち抜かれるような衝撃を受けた。
こんな天使がこの世にいたのかって固まるくらい。
純粋そうな雰囲気を纏い、
柔らかく微笑むその子を見て
俺は自分の闇を知った。
スマホを弄って気持ちの悪い笑みを浮かべながら、俺の質問に片手間に答える親友。
ソファの背もたれに頭を預けて、ずり落ちながら顔を緩めている。
あんな純粋そうな子が彼女だと色々大変だろうな。
まさか。
俺はああいう女が苦手。
純粋無垢な子はタイプじゃない。
もっと、色々わかってて面倒くさくない、
そういう子がいい。
何より束縛が嫌いな俺は、
あーだこーだと騒がれたり傷つかれて泣かれる、とかそういうのが1番嫌いだ。
隣から立ち上がろうとした時、スマホの画面ばかり見ていたジミナが初めて俺を見上げた。
その無表情な顔を見て、これは本気だと悟った。
多分、ジミナもあの子が特別な存在だってわかってるんだろう。
俺は左手でこの恐い顔をした親友の髪をくしゃっと撫で、少し笑いを誘ってからその場を立ち去った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!