練習室の中で、一人膝を抱えて考えてみる。

Vさんは、もしかして何か心当たりがあるんだろうか？

いつもと違う彼の態度が気になって仕方ない。

そんなの、私が特別なわけないんだから気のせいかもしれないのに。

ましてや散々二人きりを避けている私に今更どうこう言う権利はない。

だけど……と延々と続く疑問と不安で押し潰されそうになる頃、外が少し騒がしくなって練習室の扉が開いた。

ジミンの怒号が練習室に響く。

かなり本気の様子に私がいていいのかも分からなくて、とりあえず空気になろうと努力した。

ナムジュンさんがみんなを落ち着かせて座るように促したけど、ジミンは頭に血が昇ってるらしく座ろうとしない。

なんとなく、なんとなくだけど
Vさんが話の中心なのかなということだけ理解できた。

本当は聞いちゃいけない内容かもしれないけど、この雰囲気の中で急に動き出して外に出る勇気もない。

ホソクさんがVさんの背中をさすっている。

ジミンがこんなに怒ってるの、初めて見たかもしれない。

相手が同い年のVさんだからか、容赦ない口調で責め立てていく。

二人の会話がヒートアップすればするほど耳が痛いし止めに入りたいけど、私にそんな出しゃばるような真似はできない。

少なくとも、きっとこれはメンバー同士の話だし…

ユンギさんの一言で、ピリッとした空気がより凍りついた。

気まずそうにこちらを見るみんなの視線が痛かった。

話は大体わかったし、ユンギさんの言ってることも何となくわかってた。

ジミンが少し前まではこんな感じじゃなかったと言われた時から。もっと言えば、彼と初めて会った時からそんなの薄々気づいてた。

今更私に注目されても困るだけだよ……

ホソクさんの言葉にうんうんと頷くのはナムジュンさんとジョングクくんだけ。

ジンさんは失笑してるし、ユンギさんは壁にもたれて下を向いている。

チラッとその横に目を向けると、一瞬だけVさんと目が合った。

怒りと悲しみに溢れて、自信を無くした瞳。

すぐに目を逸らされて私の方が動揺した。

そのまま立ち上がると、Vさんは一言

「頭冷やしてきます」

とだけ言って、みんなの静止も聞かず風のように練習室を出て行ってしまった。

その場の雰囲気が余計に重くなった時、ジンさんに続きナムジュンさんも明るい声で空気を一変しようとしてくれた。

だけど他のメンバーはとにかく気まずそうだし、ジミンは下を向いてまだイライラしている様子。

徐々にそれぞれ別の行動をしだす頃には、スタッフさんも何人か部屋の中に入ってきた。

だけど私は一人で、ただただ部屋を出て行った彼のことばかり考えていた。