昨晩、日付が変わる頃やっとVさんの捜索をやめたジミンは家に帰っても休めなかったらしく、シャワーを借りると言ってリビングを出て行った。
私は自分を落ち着かせるように紅茶を味わった後、寝室に行きベッドの乱れを見てシーツを変えた。
心臓が異様にどくどくと鳴るのは罪悪感のせいに決まってるけど、先程感じた寒気も治っていない。
カーディガンを出して羽織ると少し寒さが和らいだ。
ジミンのシャワーが終わるのをソファに座ってぼーっと待っていると、私を呼ぶ声と共に上半身裸の彼が顔を出す。
立ち上がろうとすると何故かぐわんと頭が回り足元もおぼつかない。
ふらっと力が抜けて倒れる…と思った時、力強い腕が私を支えた。
身体を支えながら右手を私の額に当てて驚くジミン。
そう言われると身体の節々が痛い気がする。
自分を責め出す彼にふるふると首を振って大丈夫だからとアピールしたけど受け入れられない。
軽々と私を抱き上げるとベッドまで運びそっとおろした。
優しく布団をかけてくれた後、ぱたぱたと慌てて部屋を出て行った。
何かが取り憑いているみたいに体が重くて、今にも意識が遠のきそう。
寒いのに暑くて、これは本格的に風邪引いたなと苦しみながら寝返りを打った。
再び足音が聞こえてくるとジミンが水を手にベッド脇までくる。
眉を下げて私の手を握ってくれる、これだけで私は嬉しいのに。
手を握り返しながらお礼を言うと水を差し出してくれた。
口に含むと水分が身体に行き渡って気持ちがいいけど、相変わらず頭がクラクラとした。
力を抜くようにぼすんと再び寝転ぶとジミンが心配そうに頭を撫でてくれた。
そう告げると、スマホの着信音が鳴ってジミンが反応した。
ごめん、と言いリビングに行く彼の背中を見送ってからゆっくり目を閉じる。
水を飲んだからか、辛いのに今度はなかなか寝付けなくて布団の中で丸まった。
気配を感じて目を開けると、スマホを手にしたジミンがベッド脇まで戻って来ていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。