第42話

🍏始まりの苦しみ
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2021/05/08 14:15
目が覚めると目の前には綺麗な顔で眠るあなたがいた。

カーテンの隙間から覗く光が俺たちに朝の到来を告げている。

深夜の幸せは夢じゃなかったんだと安堵する一方、自分のしたことへの罪悪感もある。

それでもすやすやと気持ち良さそうに寝息を立てる彼女を見ていると、もうどんな罰でも受ける覚悟でいる代わりにこの幸せを奪われたくないと思った。


彼女の肌から感じる温もりを逃さないよう、掛け布団をあなたの肩までかけ直すと少し吐息が漏れた。
you
ん…、
もそもそと動いてゆっくりと目を開けるあなたに優しく話しかける。
Th
ごめん、起こしちゃった
you
おはよう…
まだ寝ぼけ眼でそう言う彼女もとてつもなく可愛い。
you
んと…シャワー、浴びる?
Th
そうだね、
昨日雨に濡れたまま愛し合った俺たちはそのままベッドに入ってしまったから。

正直雨やら汗やら何やらを流したい。
you
えっと…そしたら…
寝室を出て左斜め前の扉がお風呂場…
お互いに裸だということに気付いたらしい彼女がもじもじとしながらそう言った。

今までの女の子達…と比べるのも嫌だけど、こんな反応初めてでそれだけで胸がギュンと持ってかれた。
Th
一緒に行かないの?
敢えてそう聞いてみると、えっと顔を赤くしながらも静かに頷いた。

そんな可愛い彼女の額にちゅっとキスを落とし、手を引きながら風呂場へと向かう。

まだ慣れないように俺の身体から目を逸らそうとするあなたを可愛がりながら2人でシャワーを浴びた。

お互いに流し合ったりするだけの時間もこんなに愛おしい。

好きな子が恥ずかしがっている姿も、その体をそっと撫でながら洗ってあげるのも…

俺にとっては全て新鮮でどれも心を揺さぶった。


シャワーから出ると寝室に脱ぎっぱなしだった服を着て玄関に向かう。

家を出る直前に一言呼びかけた。
Th
あなた…
低く囁くと俺を真っ直ぐに見上げながら素直に腕の中に入ってきてくれた。

その小さい身体をぎゅっと抱きしめてその感触を身体全体に刻み込んだ。

俺たちは、いつでもこう出来るわけじゃない。

誰にも知られてはいけない関係が始まったばかりで、既にこんなに苦しいなんて。


"次はいつ会える…?"

喉まで出かかったその言葉を飲み込み、彼女の頭に頬擦りしてから身体を離した。

ドアノブに手をかけながら最後の挨拶をする。

少しだけ寂しそうに微笑む彼女に優しく笑いかけ、あまり負担を感じさせないよう努めた。


昨日の夜、互いの名前を呼び合いながら深く長く愛し合った俺たち

だけど一度も、その気持ちを声に出すことはしなかった

きっとお互いに避けていたと思う


それでもやっぱり、君の姿が見えなくなり

君の香りがなくなると感じるんだ

どうしようもなく湧き上がるこの感情の大きさを。
Th
やっぱり…好きだ…、、

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