あなたの家を出て「帰ります」とメンバーに連絡を入れた。
運良く通ったタクシーを拾って宿舎へ向かう途中、段々と具合が悪くなって風邪をひいたらしいと気付く。
昨日半日雨に打たれてたんだから当然だ…
そこであなたは大丈夫だろうかと心配になった。
窓の外を見ると少し白みがかった青い空が広がっていて、昨晩の景色とは正反対だ。
雨が降った次の日は大体こんな調子で晴れやかで、俺の心の雨模様までも彼女が拭ってくれたんじゃないかとぼーっとしながら考える。
今後のことを考えるとこの空のように晴れやかとは決して言えないけど。
もし…彼女がこの関係を一夜限りで終わろうとしているのなら、俺には何ができるだろうか。
ただ、今言えることは…
またすぐにでも君に会いたい。
タクシーを降りてふらふらとしながら宿舎の中へと入って行くと、リビングにはジミン以外の全員が揃っていた。
頭を下げながら謝ると、それぞれの反応が聞こえてくる。
その名を聞いて、つい反応が敏感になる。
顔を上げてゆっくりと答えた。
言葉が出なかった。
だけど、ちゃんと考えればわかるはずなんだ。
あいつがそういうやつだってこと。
喧嘩をしても、離れていても、俺のことを常に心配してくれるジミナ。
そんな親友を、俺は昨日…裏切ってしまったんだ。
グガに腕を掴まれて我に帰る。
ハッとして目をみんなの方に向けると、全員が俺を見ていた。
立ち上がったグガが俺の額に手を当てた。
でかい声が響いてみんなが立ち上がる所までは覚えてる。
俺はそのあと意識が朦朧として、そのままソファに倒れ込んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!