一応彼の様子を探りながら言う。

そう言いながらジミンに背中を向けてリビングへと向かうと、ふわっと彼の香りが漂ってきた。

後ろからギュッと私を抱きしめる彼はいつもの優しいジミンで、何も変化がないことに安堵する。

その言葉にドキッとする私。
無意識に謝っていたんだと気付き自分自身に困惑した。

そうやって私を覗き込んでくるジミンは普段通りのはずなのに、今日の私は素直に受け取れない。

ぎゅうと力を込められると異様に心臓がうるさくなった。

くんくんと首元を嗅いだジミンが少し不思議そうな声を出す。

もう今にもバレるんじゃないかと目を瞑ると、ぱっと彼が離れた。

変な笑い方。自分でもおかしいと思うけど、残念ながら私にこの状況を打破するような演技力はない。

極力怪しくならないようにさりげなくジミンの手を放してキッチンへと向かった。

紅茶を入れてテーブルへと運んでいくと少し表情の硬いジミンが待っていた。

私の声にはっとした彼が力なく笑った。

その顔を見て昨日のことを思い出し、慌てて彼の気持ちを察する。

私は何をやってるんだろう。

彼が一晩悩んでいたことくらい、彼女の私なら予想できたはずなのに。

今朝私に電話をかけた時、
連絡が取れない間、
部屋に入ってくる時、
一体彼はどんな気持ちだっただろう。

自分の隠したいことばかり考えていた自分が情け無くて恥ずかしくなった。

そう言って眉を下げて見つめてくるジミンを見て、罪悪感に苛まれる。

彼の座る所まで行き、その悲しそうな頭をギュッと抱えた。

頭を優しく撫でると、彼が安心したように私の胸に頭を預けて腰に手を回す。

いつもなら通じ合っているはずの私たちが、今日は彼の一方通行のようで胸が苦しくなった。

身体を離すとジミンが少し照れ臭そうに笑って言う。

ぎこちなくなってしまうけど、これが自然に返せるようになることの方がこわい。

そう思いながらジミンを見つめていると、彼が私の手を握って肌を確かめるように撫でた。