敵を倒し終えると、茂みから隠れていた皆さんが次々に出てくるや否や、「さっきのは一体なんだったんだ」とか、「君達は何者なんだい?」とか、「俺達と離れた後に何があったの」とかとか……言いながら詰め寄って来る。
緊張感漂う中、イギリスさん達の表情も少しだけ険しくなる。イタリアさんやセーシェルさん辺りはうっかり喋ってしまわないだろうか。とでも言うように、不安そうな顔をしている
イギリスさん達“連合国”の面々と、ドイツさんや日本さんは参加する一方で、イタリアさんとセーシェルさんは悩んでいた。
断りづらい雰囲気になっている中、加州さんがフォローする様にイタリアさんやセーシェルさんに声をかける。すると、イタリアさんは何かを思い出したようにハッと顔を上げた。
長義さんの言葉にセーシェルさんは「本当ですか!?」と目を輝かせる。
イギリスさんに聞かれ、昼間何があったのかを簡単に話した。
まず最初に、近くから刀剣男士の気配を感じたので長義さんと共に森の中を探していたが、その最中にイタリアについて調べてものをしていたこんのすけがある気配を感じ取った。
こんのすけに連れられ、やって来たのは洞窟。それは森の奥にあり、茂みや木々に隠れているので人目には付きにくい。
そのまま洞窟の中へ入り、進むと段々道が広くなる。最終的に一本道がある場所に出てきたが、私達が歩いた道の隣には別の道がもう一つあった。言うならば、分かれ道の片方を歩いてきたのだ。
取り敢えず一本道を進むことにし、歩いていると光が差し込んでくる。出口だ。
洞窟から出た後、私達は森を歩き、山を下ったが、こんのすけの言った通り、無人の本丸がそこにはあった。
時間転移装置は特に何の異変もなかったが、桜の木は光り続けていた。また、その上空からは時空の歪みと似て異なる穴が開き、そこからは光る一本の線が垂れているかのように桜の木の上に繋がっていた。
長居する訳にも行かず、私達は学園近くの森へと戻り、再び刀剣男士探しを始めた。
しかし、元いた場所に戻ると、時間遡行軍がそこに居た。
時空の歪みとは似て異なる穴のせいなのか、我々と敵対している時間遡行軍の、こちらの世界への行き来も可能となってしまったのだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!