飛鳥達と別れ、授業を受けている最中、合流した後どうやって飛鳥達の仲間を探すかを考える。
会ったばかりで話せない事情もあるようなので、出来ることなら詮索はしたくないが気になるものはやはり気になってしまう。
そんなことを考えているうちに授業が終わり、俺やイタリア、日本とセーシェルで先程飛鳥達と別れた場所に戻る。
四人で飛鳥達を待っていると、反対方向からイギリスやフランスの騒がしい声が聞こえて来た。どうやら昼休みに俺達がそそくさと外に逃げたあと、写真騒動の件で騒いだことから先生にお叱りを受け、イギリスもそれに巻き込まれたという。
次の瞬間、日本の言葉を遮るように誰かの足音と遠くから騒音が聞こえた。
音がした方を振り向くと、飛鳥が急いでいる様子でこちらに向かって走ってくる。
何が起こったのかは知らないが、俺達は言われた通り肝試しの会場となる森へと走る。
まだ準備の段階なのか、案の定他の生徒はおらず、準備中の中国とロシアが居た。
会場に来たはいいが、飛鳥と一緒にいた長義と言う名前の男が居ないことに疑問を抱き、飛鳥に尋ねてみる。
“敵を誘導”と言う言葉に俺達は思わず「は?」と声を揃え、目を見開いた。
すると、俺達が走って来た道から、昼間に飛鳥の肩に乗っていた狐……こんのすけが走って来る。
それと同時に騒音が近付き、鉄同士がぶつかり合って響く音がした。
訳が分からないままこんのすけの後について行くと、ようやくあの男、長義がやって来る。しかし、その背後には刀を持ち、黒く禍々しい空気を放つ巨体な“何か”が迫っていた。
俺達はこんのすけと一緒に茂みの裏で隠れるが、敵の数は一人から二人、二人から三人へと増え、飛鳥と長義が次々に斬っていく。
そんな修羅場の時だった。
アメリカとフランスはイギリスに勢いよく引きづられ、俺達が居る茂みの隣へと隠れる。
何か出来ることはないかと考えていると、セーシェルがアメリカの方を向き、何かに気付く。
俺達は飛鳥の話を思い出し、ハッとする。
この刀が飛鳥達の仲間と何らかの関係があるならば、今、その仲間を呼んで助けにこさせることは出来ないのだろうか。
何はともあれ、刀を見つけた。
戦っている最中ではあるが、俺はアメリカに「その刀、借りるぞ」と言ってから飛鳥の名前を呼んだ。
飛鳥がそう言って俺の持っている刀に触れると、刀が光だし、夏だというのに何処からか桜が大量に舞う。
“仲間”が一人増えたこともあり、三人はあっという間に敵を倒し、敵がそれ以上増えることは無かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。