遠い遠い昔の話だが、その頃はまだ「妖怪」と「人間」が仲良くしていた時代だった。
誰かがいじめられる、いじめるなどそんなことはなく、ただ平穏な暮らしが続いていた。
ある者は異族に好意を。
ある者は異族と結婚を。
ある者は異族と子を。
だがそんな中、あることが発覚し、「妖怪」と「人間」の関係に亀裂が入った。
異族との間に子を作るのは、やはり抵抗のある人が多かった。
好きであっても「怖い」という気持ちはあったのだろうか。
それでも子を作りたいと思うのは、1割にも満たないぐらいだった。
そしてその間に生まれた子は「特別」という形になった。
ここからだ。狂い始めてしまったのは…。
「特別な子」は、目につけられる存在になった。
そしてある時、「子がいなくなった」と泣き叫ぶ妖怪がいた。
そして相次いで子がいなくなったという。
「神隠しか」というものも出回ったが、一応と、町中を探し回った。
そして夜。
ある妖怪がこんなものを見つけてしまった。
「この赤ん坊は貴重なものです。」
と。まるで誰かに譲るような話し方をしていた。
「こちらは地位の高い“化け物”と人間の間で生まれました。どうでしょう?」
そう。
人間は、「特別な子」を盗んでは売っていたのだ。
この町は金がない。
だが最近、少し余裕ができたと思えば、裏でこんなことをしていたのだ。
それを聞いた妖怪が広め、そこから対立が始まった。
元々、人間が妖怪に好意を寄せる人はとても少なかったらしい。
結婚をした人であっても、ただ金目当てという人が多かった。
心に傷を負った妖怪は、人間を殺そうとする。
だが、この事態の為にと、人間は銃や槍など、殺す支度を前々からしていた。
そのため、妖怪は次々を命を落とした…。
残った妖怪は、魔界へと戻り、復讐を誓った。
そして、不死の体を持ち、魔界最強の妖怪を作ろうと決心し、死ぬ時まで「その存在」を作り出した。
そして長い年月を経て、「その存在」が誕生した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。