この世界には魔法が存在する。
魔法属性は1人1つ。
昔から、そう決まっていた。
それゆえ全ての魔法が使えてしまう人間がいたらどうなるだろう。
それが全ての始まり。
魔法のせいで、僕は何度も、何度も。
両親。友達だったはずの人。
そして誰かも分からない他人にすら、
お前だけ。お前だけ。そう言われながら…
殴られて、
蹴られて、
切られて、
罵倒されて、
生きるのが嫌になった。
自殺しようとした事もあった。
でも、死ねない。
僕の心が弱いから。
死ぬのが怖いから。
だから、もう誰も信じない。
信じられない。
信用できる人間なんて1人もいないんだ。
────────皆、敵だ。
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!