第4話

青ラブ × you
430
2022/08/08 15:57
私は5人兄弟の1番下。
あなた

もう…いっか…

そんなことを言いながら、
今日も手首にカッターを当てる。
でも、いつもここから先が動けない。

多分、怖いんだろうけど…


そんな自分に腹が立つ。
あなた

はぁ…

なんとも言えない気持ちで膝から崩れ落ちた。


泣きたいのに泣けない。

叫びたいのに叫べない。


きっとみんなわがままって言うんだろうな…

これでも全力で生きてるのに。死にものぐるいで。


私は周りと比べれば頭はいいほうだ。

5人兄弟の中でも1番点数は高い。

みんなは「いいな」って言う。

でも私からすればただ辛いだけ。

1度高い点数を取れば、ずっと高得点を取る。


これは義務だ。


そんな生活に嫌気がさして、辛くて、泣きたくて、

でも頭のいい人が泣くと驚くほど心配される。

だからいつも抑えてた。なのに…

最近は「死んだら楽かな」と考え出すと止まらない。

自分でもどうしたらいいか分からない。
コンコン

ガチャ
テオくん
だいじょーぶかー?
さっきの崩れ落ちた音を聞いて

様子を見に来てくれたのだろう。
あなた

うん

あなた

教科書落としただけ

あなた

ありがとテオ兄

テオくん
おん
テオくん
気をつけろよー
私の兄弟は上から

テオ兄

じん兄

かす姉

たそ姉



になっている。


テオ兄はいつも、私のことをどこか

心配してる感じがする。

毎日こんなことしてるってバレたら終わりだ…
テオくん
あっ
あなた

なに?

テオくん
お前さ、なんか隠してる?
テオ兄はいつになく真剣な眼差しで言った。
あなた

そんなわけないでしょw

テオくん
ならいいけどさ
テオくん
なんかあったら言えよ?
あなた

うん

バレたかな?

いや、大丈夫。見られてない。
でも、これ以上隠し通せる自信も無い。

だから明日ぐらいにちゃんとやろうかな…

次の日
あなた

ふぅ…

いつものように机の前でカッターを握る。

ここまではいつもと同じ。


でも、ここから先が問題だ。

目をつぶって、心を空っぽにする。


そして、小さな声で、
あなた

さよなら…

と一言。
今更ながら頬に一筋、何かが流れる。


カッターを持つ右手に力が入る。

ぐっと手首に押さえつけた。

そして、


ありったけの力を込めて

カッターを引いた。
と同時に、部屋のドアが開いた。
かす
あなたー
ノート貸し……え?
かす
あなた!
何してんの!!
かす姉は私の腕を強く掴んだ。

既に意識が朦朧としている私。
かす
テオ兄ー!救急車!
テオくん
え!?
かす
あなたが…
テオくん
!?
テオくん
俺が看るからみんな呼んできて!
テオくん
あとタオルいっぱい持ってきて!
かす
わかった
かす姉は走っていった。
テオくん
お前さ…俺に言えって言ったろ?
テオ兄はずっと私の手首を自分の手を

血まみれにしながら抑えてくれている。
テオくん
理由は後で全部聞くからな
私はただ頷いた。
そして、たそ姉とじん兄の慌てた声と、

救急車のサイレンが聞こえたのを最後に、

私は病院のベットで目を覚ました。
まあたそ
起きたか…?
じんたん
起きた!かす!ナースコール!!
かす
わかった!
病室が一気に騒がしくなる中、テオ兄は1人

窓辺に腰掛け、何かに怒っているかのように

外を眺めている。
どうやら多量の出血で過度の貧血を起こしたらしい

テオ兄の適切な処置とかす姉の迅速な伝達で

助かったとのこと。
今もずっと隣にいるじん兄とたそ姉を含めて、

みんなには感謝している。


でも、私は死にたかった。

多少の心残りだ。
まあたそ
なぁテオ兄!いつまで黙ってるん?
じんたん
そうだよ!なんかないの?
テオ兄は重そうな腰を上げた。

そして私のすぐ近くまで来て、低い声で言った。
テオくん
なんでこんなことになってるんだ
確実に怒っている。
テオくん
なんで俺たちがいるのに黙ってた?
あなた

みんな、私が弱音吐いたら
めっちゃ心配するから

あなた

私はそんなに心配されたくないの

あなた

それに、みんな私を特別扱いする

あなた

そんなのやだ

途中からは泣いていた。

全員に聞こえたかは分からない。
テオくん
そうか…ごめんな…
あなた

え?

テオくん
あなたが俺らとは違うって思ってた
頭いいから
テオくん
でも、それがお前をここまで
追い詰めたってことだろ?
ほんとにごめん
かす
私もごめん…
じんたん
ごめんな…
まあたそ
ごめん…
テオくん
あなたは俺らとなんも変わんねぇ
頭がどうのとか関係ねぇ
テオくん
だから俺らのこと許してくれるか?
あなた

もちろん

その時、私は前までの常に死を考える私ではなく、

兄弟とのこれからの人生を考える私に変わった。
病室には暖かい空気が流れていた。



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