そう、私はイケブクロの友達と遊ぶ予定だった。
一応メッセージは送っといたけれど、既読がついているかは不明だ。
彼が言葉を濁し始めたという事は、何となく、だが理由を察せた。
追い打ちを掛けるように乱数くんが悪意なき眼差しで彼に話を振った。
これは憶測だが、帝統くんはお金を使い過ぎだと言う事で借金NGを2人から食らっているのだろう。
ああ、帝統くんはよく騙されるタイプなのか。
そう言えば先程も幻太郎さんの嘘に引っ掛かっていたような気がする。
ギャンブラーは、そういうやり口の小悪党のような人物ばかりなのだろう。
しかし、それに較べ帝統くんはどうなのだろうか。
負けじと細工した賽子を使用するのか、はたまた……
矢張り、帝統くんは真っ向勝負を好んでいるらしい。
狡賢い真似をしない正直者だからこそ、色んな人に認められているのだろうな、と思った。
時計を見るとPM.19:00を刺していた為、私はその場を立ち上がった。
夜道を女性1人じゃ歩かせれないと、心配してくれる皆に嬉しさの感情を抱いていると、幻太郎さんは、
そう言って眉間に皺を寄せ、疑うような視線を帝統くんに突き付けた。
乱数くんまでも、これまで見た事の無いような、若干引いたような……辛辣に言うならば軽蔑したような目付きだった。
私は訳が分からずに3人の話を聴いていたが、後々予想すらしなかった出来事が起こるなんて、今の自分には考えてもいなかった……。
ーNEXTー