卒業式は合格発表の前日です。
もう試験は終えているため、気楽といえば気楽なのですが、卒業式の前の日でもクラスの空気は重かったように感じます。
そんな気分を反映させたかのように空は曇り空、卒業式当日である明日も回復は見込めなさそうです。
校庭の隅っこの桜も、いつもは花を咲かせて存在をめいいっぱい主張している頃なのに、まだ蕾すら見つからない状態でした。
帰り道、僕は桜の木に手を当てて問いかけました。
「このままで終わっていいの?僕は頑張ったよ。言ってなかったけどね、夢も見つけたんだ。明日はきっと咲けるよ」
この状態から満開なんて、魔法でも使わなければ無理だと思いました。
でも、この桜の木はそれが出来そうな気がしたんです。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。