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第1話

#1
701
2018/03/05 14:24
学校という世界は、僕が過ごすにはあまりに狭すぎました。




小学生の僕は、鍵っ子でした。
誰もいない暗い家に早く帰って長い時間を過ごすのが嫌でした。
帰りは学校に生えている木とか、道端に咲いている花とかを眺めてゆっくり家へと向かいます。
そうすればできるだけあの暗くて寂しい家にいる時間を減らせるから。

そのうち、植物の言葉がわかるようになった気がしました。
今、この花は気分が良くて歌ってるなとか、ここは過ごしにくいんだなとか。
小学生の戯言と言われてたけど、僕には本当に聞こえたんです。

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