第6話

最低だ。
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2020/03/14 18:41

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私の前を歩く善逸くん。
私の腕を掴む善逸くん。


どうしよう。涙が止まらない。

というか、いつまで歩き続けるんだろう。
そう思っていたら、ぴた、と目の前の足が止まる。

正面を向いてみると、蝶屋敷があった。
どうしてここに、と固まっていると、突然目の前の善逸くんが私の方を向く。

視線が絡まる。


「ぜ、善逸く」

「炭治郎に何かされたの?」

え、ここで話すの。
ふるふる、と首を振る動作をする。

「ちが、炭治郎くんには少し話を聞いてもらってただけで、本当に何もしてない。…されてない。」

指の腹で私の涙を拭ってくれる、善逸くん。
それでも…そのせいでまた溢れだしてしまう私の涙。

「じゃあなんでこんなに泣いてるの。」

ぎゅっ、と音がしそうなくらい私を強く抱き締める。
あぁ、なんだか昔を思い出すな。
そう考えているとまた涙が止まらなくなる。

「わかんない。もう分からないの」

「頭がぐちゃぐちゃで、もうなんで泣いてるのかも分からないの。」


善逸くんに優しくされて嬉しくて泣いてるの?

それとも、いままで悲しくても辛くても泣けなかった分の涙?

私にはもう、分からなくなっていた。
でも、



「でも、私が泣いてるのは善逸くんのせいなんだよ」

善逸くんの目が見開かれる。
次第に顔が歪んでいく。

「っ、ごめんね」


いたたまれなくなった私は、その場を走って離れる。
最低だ。私、最低だ。

とうとう八つ当たりしてしまった。

大好きな善逸くんに。



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