第20話

ごめんなさい、炭治郎くん
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2020/03/19 16:02




ハッと目を開く。
視界には見慣れた天井が広がっていた。

どうやら私は超屋敷の病室で寝かされているらしい。

先程の夢のようなものは走馬灯だったんだろう。
あれは、私の過去に怒った出来事だった。

でも何で忘れていたんだろう。

私は、過去に善逸くんと会っていた。
仲良く遊んでいた。
いつから忘れていたんだろう。

そう思考を巡らせていると、胡蝶様が病室にひょっこりと顔を出す。

「あなたさん!漸ようやく起きたんですね!」

「胡蝶様…私、どれくらい眠っていたんですか…?」

そう聞くと、胡蝶様は酷く安心した顔で

「かれこれもう2週間が経っていて、遊郭潜入した隊士の中では最後に目を覚ましたんですよ。皆さんすごくあなたさんを心配して…でも目が覚めてよかった。」

と教えてくれた。
もう皆意識が回復して、怪我もほとんど治ってきているらしい。

「そうだったんですね。…すみません、心配かけてしまって。」

「全くですよ。他の方にもあなたさんが目を覚ました事を伝えなきゃですね。…と、その前に」

胡蝶様は座り直して、私の方を向く。

「あなたさんに伝えなければならない事が2つあるんです。」

真面目な話だ、と感じ取り、寝かせていた鉛のように重たい身体を無理やり起こす。

「まず…これは伝えるか迷ったのですけれど…炭治郎くんが、花吐き病にかかりました。」

「え…」

それは本当ですか。
そう聞きたかったのに言葉が出ない。

「遊郭潜入の際にある女性と出会ったみたいで、それから…炭治郎くんは別の部屋で安静にしているので、身体が回復したら会いに行ってあげてください。」

それからもう1つ。

「あなたさんに続き、炭治郎くんが花吐き病感染者にかかり、このままでは他の隊士にも、あなた達にも危険に晒されると判断し、特効薬を完成させました。」

皮肉にも炭治郎くんまで花吐き病にかかってしまったおかげで、研究もすんなりできた、と静かに話す胡蝶様。

「じゃあ、炭治郎くんは花を吐かなくて済むんですか…?」

「薬を飲めばは一時的に吐かなくなりますよ。…ただやはり特効薬なので、完治という訳ではないのですが。」

カラン、と手のひらに収まるサイズのガラス瓶を胡蝶様に渡される。

「1回1錠、夕食後に飲めば効力は1日もつはずです。」

今は安静にしててくださいね。

そう言って病室を出ていく胡蝶様を見送る。

いなくなったのを確認したあと、炭治郎の元へおぼつかない足で向かう。

私のせいだ。
私のせいで炭治郎くんが花吐き病にかかってしまった。

今すぐにでも会って謝らなければ。

ごめんなさい、炭治郎くん。


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