第23話

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2019/10/24 09:22




武装探偵社がある赤レンガ造りの建物の1階にある
喫茶店《 うずまき 》


雨粒が屋根に当たるパラパラとした音が心地よく、
不安で押し潰されそうな心を穏やかにしてくれる。





何時もと同じブレンドの珈琲を飲みながら、
とある本を読む...。


私はこの時間が大好きだ。









カランコロン...


と、来店を知らせるベルが鳴る。


私はここ1-2年程愛用している白帽子を
自然な動作で被った。




いつ、何処で 元同僚ポートマフィアに会うか判らないから、
私はこの帽子を被る。









谷崎ナオミ
谷崎ナオミ
まァ!華楓さん。今日はオフじゃありませんでしたか?
太宰 華楓
太宰 華楓
うん。オフだけど此処に来たくなって。
店に現れたのは谷崎兄妹。
ナオミちゃんは潤一郎君の腕にくっ付いている。






...__ポートマフィア時代の私にとってのLupinの
ような、心休まる場所なのだ。うずまきは。

谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
僕たちこれからお昼を食べようと思ッて...。華楓さんも良かッたら一緒に如何です?
太宰 華楓
太宰 華楓
うん。是非
私はそれからカウンター席からテーブル席へと移動し、 谷崎兄妹と共に早めの昼ご飯を食べることになった...。





















谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
ご馳走様でした
太宰 華楓
太宰 華楓
ご馳走様です
谷崎ナオミ
谷崎ナオミ
ご馳走様ですわ
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
華楓さんは、これから如何するンです?
太宰 華楓
太宰 華楓
んー。特に予定はないし、探偵社に顔を出して行こうかな。
谷崎ナオミ
谷崎ナオミ
では、一緒に行きましょう!
太宰 華楓
太宰 華楓
うん。それじゃあ、お会計を...


ご飯を食べる時だった為脱帽していた白帽子を
再び被り、会計を済ませる。


ナオミちゃんと潤一郎君の後に着いて、うずまきを出ようとすると、店に入ろうとする人と丁度タイミングが被ってしまった。


ナオミちゃんがドアを引いて、「どうぞ。」と声をかけるとその人は会釈をして店に入る。



その人とすれ違った時鼻腔を掠めた匂いに

反射的に顔を上げてしまった。


















だって...____ だってこの匂いは...










































織田作之助
織田作之助
華楓...か?
太宰 華楓
太宰 華楓
う、そ.....






兄さんが云っていた時間より余りにも早すぎる...。











しかも、よりによって作にぃに見つかるなんて...








半分放心状態の私を見た作にぃは私の肩に両手を置いて、顔を覗き込む。
織田作之助
織田作之助
本当に華楓か...?

生きてた...のか。
太宰 華楓
太宰 華楓
っ......
谷崎ナオミ
谷崎ナオミ
...華楓さん、その方は?


ナオミちゃんの一言で我に返る。


そうだ、、、逃げない と...












太宰 華楓
太宰 華楓
ごめん、なさ...いッ
私は作にぃの手をはらって、うずまきを飛び出した...





私を呼び止める声を聞こえないふりをして、


遠くへと........























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