待ちに待った休日。
できる限りのお洒落。
目元を鮮やかな色で彩り、唇に艶を乗せる。
最後に左手の小指に指輪を。
指輪は無くてもいいけれど大好きなアクセサリーの1つなので出かける時はつけている。
陽の光を受けて輝く指輪を確認し、彼の元へ向かう。
いつも私を見るとすぐに褒めてくれる。
だから新しい服を買う度に綾人さんは褒めてくれるだろうか、なんて考えてしまう。
照れ隠しに目をそらした。
ふふ、と笑う声が聞こえたと思うと左手をとられる。
そらしていた目を戻すと柔らかく笑う彼。
彼といる時しか感じられない甘酸っぱい瞬間。
手を握り返し歩き出す。
普段は聞かれない質問に戸惑う。
そう言うと懐を探り出す。
懐から出てきたのは可愛らしいシンプルな指輪で
何も言えずにいると、小指の指輪をそっと外され代わりに出てきた指輪を付けられる。
寂しくなった小指
飾られた薬指
左手の薬指につける指輪は婚約を意味する事くらいは知っていた。
敬語の外れた喋り方に心臓を掴まれたような感覚に陥る。
言葉を選ぶようにゆっくりと口を開く。
数秒が長く感じて、周りの景色が止まって見えた。
貴方がどんな風に伝えてくれるのか期待してしまっている。
分かりきっているのに
貴方の囁く愛の言葉が嬉しくて
貴方がくれる以上の愛は返せないけど
求めてしまう
滲む視界には彼と
彼のくれた薬指に輝く指輪。
指輪もつける場所で意味があるみたいで
左手の小指▶️恋人いません
的なニュアンスらしく
彼がいながら無意識に恋人いないアピールをしてしまうあなたさんでした
綾人さんは知ってか知らずか小指に指輪つけて欲しくないって仰っておられます、どっちなんでしょうね
最後までお付き合い頂きありがとうございます🫶
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。