第13話

隠し事
1,861
2021/12/27 20:39
一週間ぶりに東京の渋谷に来た。


相変わらずの人の多さにビビってしまう。
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
サナさんごめんなさい、待たせちゃいました?
私が待ち合わせ時間よりも余裕を持って家を出たから早く着いちゃっただけなのにすごく申し訳無さそうな姿に頬が緩む。
湊崎紗夏
湊崎紗夏
全然、サナが余裕持って行動したいだけやから
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
じゃあ行きましょう
子供のようにはしゃいで私の手を握るチェヨンさん。


どんどん顔が熱くなって見られないように俯いた。
湊崎紗夏
湊崎紗夏
んっ!美味しい、、
そう言ってチェヨンさん、おすすめのお寿司屋に食べに来た。
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
それは良かった!
ニコッと笑っている姿にキュンとする。


二人でお寿司を食べながら少し呑んで話がすごく弾んだ。


ふたりとも時間なんて気にせず今の楽しい時間を過ごしていた。


また遊ぶ為にスケジュールを確認しようとスマホを開くともう日付を越していた。
湊崎紗夏
湊崎紗夏
あっ、やばい
終電の時間ギリギリで今から急いでも間に合いそうになかった。


チェヨンさんのせいじゃないのにすごく申し訳無さそうに誤ってくれる。
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
ごめんなさい、時間気にしてなかったです
湊崎紗夏
湊崎紗夏
いや全然、サナも時間見てなかったし、なんならタクシーで帰れるし
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
いや、こんな遅いのに一人で返すわけには行きませんよ
湊崎紗夏
湊崎紗夏
えっ、でも
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
うちに泊まっていきますか?
湊崎紗夏
湊崎紗夏
えっ、迷惑やろ?
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
迷惑なんて思わないですよ
ほんとに笑顔が素敵な人だ、、、


そこからお会計して家に向かった。


でもなぜか向かっている途中チェヨンさんはソワソワしていてなにか言いたそうだった。
湊崎紗夏
湊崎紗夏
チェヨンさん、、何かあったん?
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
あの、言ってないことがあって
思いつめたような顔に私まで不安になる。
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
騙してたわけじゃないんですけど私、男じゃなくて女なんですよね
何を言い出すかと思ったら、そんなことか、、


確かに顔も整っていて服装も男性ぽいと思ったけど、、


助けてもらったときから声も女性ぽかったし何より身長も男性にしては少し小さかった。


性別のことを聞こうと思ったけど多種多様なこの世の中で聞いたら困らせたり傷つけたりしちゃうんじゃないかと思ってしまった。
湊崎紗夏
湊崎紗夏
ずっと女の子やと思ってたで
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
あっえっ?ほんとですか?!
さっきまで罪悪感でいっぱいのような顔だったのに今はすごく驚いた顔をしている。


コロコロ変わる表情が可愛かった。
湊崎紗夏
湊崎紗夏
ほんまやで、、やなかったら泊まらせてもらわへんよ
仮に男の人だったとしてこんなにホイホイついていったら危ないし、、
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
あっ、そうなんですね
湊崎紗夏
湊崎紗夏
ついていったりして襲われたら危ないやん
「なるほどね」と小さな声でそう言うとゆっくりと近づいてくるチェヨンさん。
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
女でもサナさんを襲うこと、できるんですよ
湊崎紗夏
湊崎紗夏
えっ?、、
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
女だからって簡単について行ったら取り返しのつかないことになりますよ
湊崎紗夏
湊崎紗夏
取り返しのつかないことにして、、チェ、、ヨンさん
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
チェヨン、、、
湊崎紗夏
湊崎紗夏
んっ?
ソン・チェヨン
ソン・チェヨン
呼び捨てで呼んで
湊崎紗夏
湊崎紗夏
わかった、、
「チュッ」


引き寄せられて唇が触れる。


キスされたと気づいたときにはもう唇は離れていて、チェヨンさんは私の手を引きながらズンズンと歩いていく。

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