予想通り全然気持ちよくない。
というよりは気持ちいいスポットをわざと避けて突かれている気がする。
ただの指だから男性のように太さもなければその細さを補う技量も無い。
今までで一番気持ち悪いセックスだった。
不快感というよりはすべて演技なのを見透かされてる気分になった。
そういうとチェヨンさんは私の頭を優しくなでながら布団をかけてくれた。
入ってきたときに2つベッドがあることに違和感を感じてたけど私も泊まれるようにと一応ベッドを2つとってくれたのかな?
素っ気なくそう言ってお風呂に行ってしまった。
この一連の流れの中で彼女の表情はずっと同じ。
行為中にも真顔から顔を変えることはなかった。
なんなん?連絡までして日程も決めてやりたかったんやないん?
ここまで相手のことを読めないのが初めてで頭が混乱する。
気づかないうちに疲れていたのか私はそこで意識を手放した。
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「プルルルッ」
私のものではない着信音で目が覚める。
私の隣のベッドがもぞもぞと動き始めて携帯のスクリーンを見た瞬間早足でトイレに駆け込んでいったチェヨンさん。
そんなんされたら気になるやん。
そう思いゆっくり立ち上がってバスローブを適当に着て、トイレの前に座り込む。
えっもしかして恋人持ち?
扉を挟んでいるから聞こえるのはチェヨンさんの声のみ、嬉しそうな声が聞こえて何故か胸の奥がチクっといたんだ。
不合格なんの話?
仕事の話やろか?演技が必要なん?
私の話?
そこでバラバラのピースが一気に繋がった気がした。
この人は私に興味がないんや、、そう思った瞬間、今まで感じたことのない虚無感に襲われた。
「ガチャッ」
随分焦ったように電話を切ったチェヨンさん。
壁に追い詰めていけばいくほど、チェヨンさんの顔はわかりやすく曇る。
大きく深呼吸した後、チェヨンさんは口を開いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!