第49話

【九州編】7話『体育祭当日』
353
2023/12/31 06:00
千愛side
快晴の青い空。

校庭には2色の色、白と赤。

そして校長先生の
厚木校長先生
で、あるからして…
馬鹿長い話。
瞬呉 紬
瞬呉 紬
早く終わんないかな
華暦 千愛
華暦 千愛
大体こうでしょ
つむの小さな声にそう返す。

校長先生の話が長いのは全国共通のことだろう。
まぁ極偶に、長くても面白い話や、短い話をする校長先生もいるんだろうが。

残念ながら、青松院学園の校長先生はそうでは無いみたいだ。

宮根教頭先生
それでは宣誓です。
生徒
僕達、私達は…、
校長先生の長い話が終わり、「やっと…!」とつむの目が輝くが、教頭先生の一言で、また瞳にハイライトが無くなる。

見てて面白いくらいの表情の変わり具合だ。

アズサside
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
私は…赤組
体育祭実行委員会から手渡されたハチマキは赤色、つまり私は赤組だ。

青松院学園の体育祭では、何組かは事前に決まっているが生徒には発表されず、当日に渡されたハチマキの色で何組かが漸く分かる。
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
(他に誰がいるのかしら…)
周りを見渡してみると、赤組ゾーンにいるのは、
華暦月に立夏くん、牌塚月に甘魅月。
…甘魅月、牌塚月と同じ組になれたんだ。

一方白組ゾーンには、
玻翠月、瞬呉月…ここだけで運動神経のバケモノ。
他には千夏ちゃんと雲隠月の姿も見える。
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
あれ、会長は何処…
赤組のゾーンにも、白組のゾーンにも、会長の姿は何処にも見当たらない。

あの人、何処行って…
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
やぁアズサ君。
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
きゃああああっ?!?!!??!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
…すまん、そんなびっくりするとは思わなくて
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
あ、会長ですか…
会長が見えなかったのは後ろにいたから。

…変な声出しちゃったじゃない!!!!会長のせいで!!!!!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
優君は…あっちか。紬君も………
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
だがこっちには千愛君や牌塚月も居るからな!多分大丈夫だろう。
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
そうですかね…
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
しかも俺も居るしな!
会長が持っていたのは赤色のハチマキ……

一緒…………!!
これで心置き無く応援できる。

白組だと、敵を応援するなんて周りに悪いし、気まずくなってしまうから…
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
む、赤組は体育館側か…
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
アズサ君、行くぞ
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
はい…
歩きながら、会長の横顔を横目で盗み見る。

会長ってナルシストで変な人だけど、守ってくれたりするうな優しいところもあって、……嫌いになりきれないし、寧ろ好き。
もし借り物競争であのお題が来てくれたら私は…

か、壁ドンとか、キ、キスとか…?!?!?!
きっと少女漫画だったら、
題名は「恋する乙女アズサちゃん❤︎」に違いないわ…!!!!
(※アズサは恋愛少女漫画を書いてるせいか、
妄想癖と漫画の題名を考える癖があります)
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
…。ズ……
その後のことを想像して…振り切るかのように頭を振る。
いやまだ付き合ってもないし?成功するとも限らないし?
なんでこんな妄想してんの馬鹿〜!!!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
アズサ君。
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
はいっ?!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
…並ぼうか
会長の後ろにはぼんやりと…多くの人だかりが見える。

…ア、アナウンスの事忘れてた…!
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
ッ〜!!!全然抜かせてない…!
リレー真っ最中の今、白組が優先。

目の前では風を切るかのように、瞬呉月が物凄いスピードで赤組と差をつけていく。
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
…やはり月は次元が違うな
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
いい意味でも悪い意味でもですね…今は悪い方ですけど!!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
まぁこれが同じ宵月隊員だと思うと誇らしいな!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
ハハハッ、
会長が笑った瞬間、横から急にすごい量の砂煙と風がやって来た。

砂煙の間に見えたのは、白組に圧倒的なスピードで追いついた牌塚月…白組の人もびっくりしている。
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
…化け物
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
月の中でも、1番強いと言われてるからな
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
え、そうなんですか…?
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
あぁ
会長は私が聞くと、更に詳しく教えてくれた。

月の中で異能力が1番強いのは華暦月。
やはり、“才能の月”と言われるだけあるらしい。
莫大な霊力量に、5種類の多様な式神達、更に人間の形に近い神が3人に、何かもよく分からない猫の霊……

情報戦で強いのは仙嚢月。
話によると、会長もあまり詳しくは知らないが、9歳の時に仙嚢月以外の家族全員が亡くなる大事故にあった。
その事件後、IQが160を超えたらしい。実際日本宵月本部の最高責任者だし、頭が強いのは間違いない。

月の中でも肉弾戦が強く、また月の中で1番強いと言われているのが牌塚月。
あの人の異能力は…実は会長も知らないらしい。
あまり異能力を使わない人で、基本的に穢れを祓う際は肉弾戦なんだとか。
だからきっと異能力は、
偵察とかあんまり実戦に使えないものor強すぎるものと言われてるらしい。
そうこうしているうちにも、リレーの列はどんどん進んで行く。

今は5人程前にいた立夏くんが華暦月にバトンを渡したところだった。
華暦月が、また空いてしまった白組との差を縮めていく。

…運動神経は無いとはいえ、月だからあるにはあるのよね…
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
…次、会長ですよ
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
あぁ、行ってくる。
活躍見といてくれよなアズサ君!
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
はいはい…
…なんて軽く受け流したけれど、内心めっちゃバクバクしている。

これで赤組が優勝取れなければ、ほんとに神を恨むわ。
まぁでも会長なら白組をもっと引き剥がしてくれるはず…!

黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
アッ
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
エッ
会長が目の前でバトンを落とす。

紅組全員が目を見開く前で、白組はバトンパスが上手く行き、颯爽と走り去っていく。
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
ちょ、走って下さい!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
エッ
会長が混乱し、そのままバトンを持たぬまま走り出す。
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
ちがーう!!!!そうじゃないです会長ー!!!!!!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
えっ
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
拾ってくださいよ!!!!バトン!!!!!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
アッ
大声で会長を呼び止め、戻ってきてバトンを掴んで走り出す会長を眺める。

こんな時に何してんですか、あのナルシスト会長。

白組はもう2個目のカーブに差し掛かっており、隣で白組の次の人が準備をし始める。

次の赤組の人は…私だ。

横をバトンを受け取った白組が駆け抜けていく。

早く、早く………!!!
黒嶺 礼央
黒嶺 礼央
アズサ君ッ!
バトンの感触が掌に伝わる。
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
赤組に……
臙脂 アズサ
臙脂 アズサ
心臓を捧げよーッッッ!!!!!!!!!!!!!
私の大声が響き渡るリレーコースを走り出した。

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