紬side
下校時間近くの3回廊下。
もう6月だから、この時間帯でも真っ暗、
なんてことは無い。
少し暗いくらいの廊下に、避難経路を示す緑色のランプが灯っていた。
次の瞬間、避難経路の灯りで緑色だった廊下が、赤色に変わる。
そのまま赤色がチカチカと点滅する。
緑色だった避難経路の灯りはいつの間にか赤色に変わっている。
千愛そう言いかけた時、千愛の方を見ると、何本かの白い手が巻きついているのが見えた。
白い手。
あの時の、
忌まわしい記憶。
こっちを向いた千愛と目が合った瞬間、
千愛は足元の闇に呑まれて消えた。
白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手白い手
血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い血の匂い
あの時の、やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ
また私のせいで、人が、部下が、2人も。
…次は、親友、?
優の声が聞こえて我に戻る。
脳の1部は冷静になったけれど、まだ冷静になりきっていないところがあって、歯が上手く噛み合わない。
震えが止まらない、どうしよう、どうしよう。
辺りを見回して優が言う。
あるのは割れてもうつかない避難経路のランプと、落としたChromebook。それに私。
恐怖で上手く喋れない。
後ろから、立夏くんが走ってくるのも見える。
その一言で優は全てを理解したらしい。
まだ震えている私に「千愛は実力もあるし、大丈夫だろ」と言う。
そういえば、下から会長とアズサ先輩の声がしていて。
横に立夏くんと優さんもいるのに、千夏先輩の姿は見えないし、声が聞こえない。
固まる私を見て、見かねた優が言った。
千愛の穢れとの戦い方。
1度だけ見た事がある。
式神を使わないで、自身で剣を使って戦う場合、最初から大きな攻撃を繰り出して、1回で仕留める。
相手の攻撃をそのまま避けないで、全速力で突っ込んで行く。
千愛にしてはかなり危ないし、私が言うのもなんだけど、脳筋な戦い方だと思う。
でも、脳筋な戦い方、と言うよりは、こっちの言い方の方がしっくりくる。
『相打ちを前提とした戦い方』
相手を殺す前提より先に、自分が怪我をして死ぬ前提で千愛は戦っている気がする。
実際、千愛は怪我が多くて、何度甘魅さんや仙嚢さん、優に怒られているのを見た事か…
まぁ、体力が無い人なりの戦い方なのかもしれない。
だとしたら、
精神が出来上がりすぎている気がするけれど。
だって…千愛の素振り的に、死ぬことを恐怖と捉えていない気がするから。
会長の後ろから見える恐らくアズサ先輩と見える腕。
アズサ先輩………いや、千夏先輩から「この前カラオケで穢れが出てきた時めちゃくちゃビビってた」とは聞いたけどまさかこれ程とは思わなくて……
「グシャッ」
いや、「グシャッ」と言うより、何かが貫かれるような音の方が正しいか。
その音は優が刺された訳。
ではなく、
床から血を滴らせて突き出している黒色の霊力でできた塊…針のようなものが原因だ。
貫かれた針の横から一直線に大量の針が出てきて血が床に飛び散る。
穢れの悲鳴が辺りに響き渡るが、幸い、私達に当たることは無かった。
一直線になっていた針が交互に左右違う方向に倒れ、コンクリートの床には無いはずの肉と血の空間が現れる。
そこから出てきたのは、
いつもの笑顔に黒髪、紫瞳。
私の親友、大好きな千愛だ。
少し血は付いているが、怪我はしていないよう。
千夏先輩も中から遅れて出てくる。
2人が出てきた後、穢れは完全に息絶えたのか、針と共に血等、裂け目は消えてしまった。
2人に何も無くて良かった……
優side
感動の再開かのように湧くその場。
まぁ、千愛の実力なら余裕で帰って来れると思ったが、自分の実体験から少しは心配していた。
…戻れたなら後の心配は要らない。
ところで、最近穢れや邪神の出没例が多くなっている。
その出没例地をよくよく見ると、大体東京から青松院学園に向かうまでの道程になっている。
体育祭当日・6月17日まで、
後、1週間。
この前の小説コラボ相手様が決まりました…!
この御二方です🙇🏻♀️
ねル様 裏社会からの逃避行。
千莉様 朝待つボクら
他にも応募していただいた方々ありがとうございます!
千莉様はこの後コラボ内容等の確認が御座いますので、以下のリンクにお飛び下さい🙌🏻