第31話

出現ゴースト!
3,067
2020/10/30 17:00
あなた
さ、ささっとお掃除道具とバケツを見つけないと。

辺りを見渡していると、奥の方に雑巾が掛けられた幾つか上に重ねられたバケツを見つけた。
あなた
あ!

しゃがんで恐る恐る中を確認するが、虫も居ないみたいだ。
そのバケツは使えるよぉ〜?
あなた
あ、本当だ。穴も空いてないっぽい!

(何だかんだでお手伝いに来てくれるグリムはやっぱり優しい。)


私はグリムの優しさを感じると、「ふふふ」と自然と笑みが零れた。

そのままバケツを手元に引き寄せる。
君、目が良いんだねぇ。
他に何か必要な物はあるかい?
あなた
えっと、掃除道具が欲しいの。談話室だけでもお掃除がしたくって。


(って、あれ? この話、さっきグリムにしなかったっけ?)

掃除道具ならここに一式揃ってるよぉ、ほら。

フワッと上から箒と箕が天井の方から下りてくる。
私はそっと箒の柄を掴み、箕を受け取った。


(あれ、グリムってこんな事も出来るの?)


取り敢えず礼を言おうと顔を上げた時だった。
あなた
ありが、
ゴーストC
ゴーストC
あなた
と……
ゴーストC
ゴーストC
あなた
……ん"っ?!?!

『ゴトッ、』

目の前でふわふわと浮いている相手に私はあんぐりと口を開け、

驚きのあまり手からは箕が滑り落ちた。
あなた
えっ?!っな?!あ、んっ?!?!?!
ゴーストC
ゴーストC
こんばんは、お嬢さん。

にっこり笑った目の前の相手に私はあわあわと口を開けたり閉めたりする。
あなた
ぁば、あばばばばっ、、、!

ブラックよりのグレーのマントを羽織り、真っ黒なシルクハットを頭に乗せている。

脚はないが真っ白でふっくらとした両手が下へと下ろされていた。


フワフワと宙に浮く姿は正真正銘、ゴーストそのものだ。
あなた
ぎゃ────
グリム
グリム
ぎゃぁぁぁああああ!!!!!

悲鳴を上げかけた瞬間、

とんでもないボリュームの悲鳴が私の後方から建物内に轟く。
あなた
ぐ、グリム?!
ゴーストC
ゴーストC
あ、ちょっと待ってぇ〜。

すぐさま振り返ると、私は箒を両手で抱えたままお風呂場を飛び出してグリムを探した。
ゴーストB
ゴーストB
ほらほら〜、こっちにおいでぇ。
グリム
グリム
ふな"っ!!!追いかけて来るんじゃねぇ!

(グリムの声…こっちの方向からだ!)


『バタバタバタッ…』

グリムの声がした方へと走っていくと、そこは玄関より少し手前の場所だった。

グリムの小さな体とは対照的に、ふわりふわりと大きな体が2つ浮いている。


(私が会ったゴーストとは違うゴーストがいる?!)
グリム
グリム
オオオオオレ様はゴーストなんて、こ、怖くないんだゾ!
ゴーストA
ゴーストA
えぇ、本当に〜?
グリム
グリム
嘘じゃないんだゾ!って、ぎゃぁっ!!!近づいて来るんじゃねぇ!

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