第7話

低身長ガール!
6,206
2020/05/17 14:08
あなた
実はこれ以外に着る服が無いので困ってて。
角がついた男
角がついた男
あなた
角がついた男
角がついた男
… 成程、それは言いにくい事だな。
女性であるお前にそんな事を口にさせてしまって済まない。
あなた
い、いえ!どうせ夢ですから。大丈夫です。
角がついた男
角がついた男
夢、か………なら、お詫びにお前を学園の出口まで送ってやろう。
あなた
えっ!ほ、本当ですか?
角がついた男
角がついた男
こんな所で嘘をついて、僕に何のメリットが?お詫びだ、良いからついて来ると良い。
あなた
で、でも、下にはグリムが…
角がついた男
角がついた男
その事なら心配するな。
『パチンッ』


彼が指を鳴らすとキラキラとした風が何処からともなく吹いて来て、

私達の周りを回って消えた。
角がついた男
角がついた男
これであの者に僕とお前の姿は見えない。
あなた
ほ、本当ですか???
角がついた男
角がついた男
本当だ。
この僕が掛けた魔法だ、約束しよう。
あなた
は、はい!

(魔法……何だか今日は凄い夢を見てる気がする。)


「では、降りるとしよう。」と、階段を降りていく彼の後ろに私も続いた。
角がついた男
角がついた男
そうだ、
あなた
クルリと後ろを向いた彼が、私の首へと手を伸ばす。
角がついた男
角がついた男
あなた
へ…?!




『スッ…』


彼は私の首の後ろへと手を伸ばし、何かを頭に被せた。
角がついた男
角がついた男
お前も知っていると思うが、ここは男だけしかいない学園だ。
見つかると多少なりとも騒ぎになる。
少しの間、我慢してくれ。
あなた
は、はい…

(び、びっくりしたぁぁああっ!!!く、首絞められるのかと…!!!)


被せられたフードの端を摘み、深く被り直しながらホッと胸を撫で下ろしていると、

彼の目がまだ私に向けられている事に気づく。
あなた
角がついた男
角がついた男
あなた
ど、どうしました?
角がついた男
角がついた男
いや、小さいと思ってな。
彼より2、3段程上に居て、やっと彼と同じぐらいの身長だった。


始めは何が小さいと言っているのかが分からなかった私も、

彼の視線が私にあるのをヒントに、今自分が『小さい』と言われている事を悟った。
角がついた男
角がついた男
人の子というのは、こんなに小さいものなのか?…いや、人間の女というのがこれ程小さいのか…?
あなた
まぁ、人それぞれだと思います。
因みに私は女子の中でも結構小さい方です。
クラスの女子の中で背の低い順に並ぶと、私は大体前から2番目ぐらいだ。

先頭になる事はあるが、3番目になる事は無い。


簡単に言えば、私はチビの類に充分に入るという事だ。


(でも、この人は少し…いや、結構身長が大きい気がするけど。)



「フードを外すな。」と再度忠告してくれた彼はゆっくりと階段を降りていく。


その後ろ姿を見ていると、

さっきの本を選んでいる姿が思い出される。


(…さっきまで自分の本を選んでたんだよね。その時間をまた潰しちゃうのはちょっと…ね。)

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