第9話

怪しいレイブンマン!
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2020/05/22 01:00
な、何なんですか!!!

鼻先の長い仮面に丸くて黄色の2つの目。

羽織られた黒いコートの内側は青く、

腰元にはアクセサリーなのか、装飾が施されていた。


緩くウェーブされた暗い色の髪、

カラスの羽のような飾りが襟元についたコート。



少し不気味な様相の目の前の男に私は悲鳴を上げた。
あなた
怖い怖い怖い、ああああああ怪しい人が居る!!!!!
悲鳴を上げる際につい顔を上げてしまったせいで、

フードが後ろへと脱げてしまう。
あ、怪しい人じゃありませんよ!
私はディア・クロウリーです!!!
貴方も知っているでしょう?!失礼な人ですねぇ。

(だ、誰ですか?!?!)
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
おや?貴方、まさか…
あなた
ひぃぃっ!!!
ゆっくりと私の前にかざされた手。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
もしや、
あなた
っ…

(た、確か、さっきの角付きの人が、、、)



『〜〜〜。見つかると多少なりとも騒ぎになる。少しの間、我慢してくれ。』



(ど、どうして私が " 女 " って分かるといけないんだったっけ?…な、なんで騒ぎになるんだったっけ?!?!)
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
女性なのでは?
あなた
グリム
グリム
あぁーっ!!!やっと見つけたんだゾ!!!もう観念して俺様にその服を寄越すんだゾ!
あなた
ひっ!!
仮面を付けた男の後ろでグリムがこちらに走ってくるのが見えた。


(や、やばいっ…!)
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
何ですか、あの使い魔は。
貴方のですか?
あなた
つ、使い魔?!違います、違います!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
全く…手懐けられていない使い魔の同伴は校則違反ですよ?
「だから、違いますって!」と言いきったものの、仮面の男は私の話を聞いてくれてはいないらしい。

その間にもグリムと私の距離はどんどん詰められていく。
あなた
ご、ごめんなさい!
わわ私逃げないといけないので!!!!!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
あ!ちょっと待ちなさい!君!!!
あなた
ご、ごめんなさーい!!!!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
式典へは私と一緒に…!
グリム
グリム
待つんだゾ、ニンゲン!俺様は絶対諦めないからな!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
貴方のせいですよ!
使い魔なら使い魔らしく従順に!
グリム
グリム
ふなっ?!俺様は使い魔じゃないんだゾ!は、離せ!!!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
いいえ、離しません!
グリム
グリム
離すんだゾーッ!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
はいはい、少し静かにしていて下さいね。私、今考え事をしているので。
グリム
グリム
ぶな"ぁ"っ!!!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
さてさて、困りましたねぇ。
早く彼女を止めないと、あの方向は…










窓の外から騒がしい声が聞こえる。
あなた
ご、ごめんなさい!
わわ私逃げないといけないので!!!!!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
あ!ちょっと待ちなさい!君!!!
あなた
ご、ごめんなさーい!!!!
すっかりフードが脱げてしまい、彼女の髪が風に靡いている。

角付きの彼は図書室の窓からその様子を見ていた。
角がついた男
角がついた男
おやおや。やはり、迷ってしまったようだ。意地など張らずに、僕に甘えれば良かったものを。
門とは反対方向に無我夢中で走る彼女を見て、

角付きの彼はクスッと笑った。
角がついた男
角がついた男
本当に小さいのだな。
少しして、小さなモンスターの首根っこを掴んだクロウリーが姿が見えた。

見失ってしまった彼女を探しているらしい。

何度もキョロキョロと首を左右に回しては、うるさいモンスターに何か言っている。
角がついた男
角がついた男
さて、小さな人の子よ。お前は一体どこに行く?
酷い騒ぎにならなければ良いのだがな。

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