鼻先の長い仮面に丸くて黄色の2つの目。
羽織られた黒いコートの内側は青く、
腰元にはアクセサリーなのか、装飾が施されていた。
緩くウェーブされた暗い色の髪、
カラスの羽のような飾りが襟元についたコート。
少し不気味な様相の目の前の男に私は悲鳴を上げた。
悲鳴を上げる際につい顔を上げてしまったせいで、
フードが後ろへと脱げてしまう。
(だ、誰ですか?!?!)
ゆっくりと私の前にかざされた手。
(た、確か、さっきの角付きの人が、、、)
『〜〜〜。見つかると多少なりとも騒ぎになる。少しの間、我慢してくれ。』
(ど、どうして私が " 女 " って分かるといけないんだったっけ?…な、なんで騒ぎになるんだったっけ?!?!)
仮面を付けた男の後ろでグリムがこちらに走ってくるのが見えた。
(や、やばいっ…!)
「だから、違いますって!」と言いきったものの、仮面の男は私の話を聞いてくれてはいないらしい。
その間にもグリムと私の距離はどんどん詰められていく。
窓の外から騒がしい声が聞こえる。
すっかりフードが脱げてしまい、彼女の髪が風に靡いている。
角付きの彼は図書室の窓からその様子を見ていた。
門とは反対方向に無我夢中で走る彼女を見て、
角付きの彼はクスッと笑った。
少しして、小さなモンスターの首根っこを掴んだクロウリーが姿が見えた。
見失ってしまった彼女を探しているらしい。
何度もキョロキョロと首を左右に回しては、うるさいモンスターに何か言っている。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。