『ゴゴゴンッ、ゴンゴンゴンッ…』
『ガーガガガガガッ…』
携帯のスピーカー越しで聞こえる親友の声は工事の音で掻き消される。
工事現場の人「危ない!!!」
後ろへと振り返ると、
視界上部からトラックの真下目掛けて大きな看板と鉄骨が落ちて来ていた。
私の目は自然と見開き、スローモーションのような動きで落ちるのを捉えた。
息を止め、
私の身体は硬直し、
その場で立ち尽くす。
『ガッシャァァァアアアンッッッ!!!』
凄まじい破壊音と共にトラック頭部が砕け、
その反動で乗せられた鉄骨や鉄パイプが此方へと飛んできた。
そして、あの大きな鏡が破片となり私の前へと舞い散る。
(あ───)
破片1枚1枚に紫や朱、深い青色が入り混じった空の色が映えて、
キラキラと輝き煌めく光の雨となり、
私に降り注ぐ景色は
私の最期には勿体ないくらい美しい光景だった。
『ガシャンガシャンッ、、、…カランカランカラン……』
遠くなる親友の声と、
辺り一面に散りばめられた夕焼けの破片を見たのを最期に、
私は永遠に出る事のないであろう、
闇の中へと吸い込まれていった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。