第3話

煌めきドロップス!
7,128
2020/05/17 14:07
『ゴゴゴンッ、ゴンゴンゴンッ…』

『ガーガガガガガッ…』

携帯のスピーカー越しで聞こえる親友の声は工事の音で掻き消される。
あなた
えっと、ごめん…今、何て言った?
親友
《だぁかぁらぁ、それでも、私はあなたの親友だから直ぐに行く!待ってて!って言ったの!…ってか、あんた何処に居るの?》
あなた
あー、えっと、学校の帰り道。
親友
《それは分かってるんだってば。さっきから聞こえる煩い音、何?》
あなた
それは工事の音。ごめんね、聞き取りにくいよね。すぐ離れる。
親友
《いやいや、それ以前に危ないから早く離れてよ。そういう危険な道は避けて帰ってよね。》
あなた
うん、ありが ──



工事現場の人「危ない!!!」



あなた
後ろへと振り返ると、

視界上部からトラックの真下目掛けて大きな看板と鉄骨が落ちて来ていた。

私の目は自然と見開き、スローモーションのような動きで落ちるのを捉えた。
あなた
息を止め、

私の身体は硬直し、

その場で立ち尽くす。




『ガッシャァァァアアアンッッッ!!!』


凄まじい破壊音と共にトラック頭部が砕け、

その反動で乗せられた鉄骨や鉄パイプが此方へと飛んできた。


そして、あの大きな鏡が破片となり私の前へと舞い散る。



(あ───)





破片1枚1枚に紫や朱、深い青色が入り混じった空の色が映えて、


キラキラと輝き煌めく光の雨となり、


私に降り注ぐ景色は



あなた
綺麗────




私の最期には勿体ないくらい美しい光景だった。





『ガシャンガシャンッ、、、…カランカランカラン……』
親友
《えっ、な、なに?!どうしたの?!あなたっ?!ね、返事して!あなた?!》
あなた
大、丈夫…っ
親友
あなたっ?!ね、あなたっ、……っ?!………


遠くなる親友の声と、


辺り一面に散りばめられた夕焼けの破片を見たのを最期に、


私は永遠に出る事のないであろう、







闇の中へと吸い込まれていった。


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